表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
リンが紡ぐ〜ある国のある物語〜  作者: dia
第14章 アプの両親
116/219

【コッチだよ!】

「レミナとリンは人を探シテるのカァ?」


 俺たちはとりあえず、街の南の方へ向かって通りを歩いている。

 人の目線が気になりながら、半ば諦めの気持ちで少し前を行く猫の着ぐるみに連れ立っていた。


「そうだ。キーンというアプの両親を探しているのだ」


 レミナは答えた。


「キーン知らないな。アプ? 女ダナ? 可愛いダロ? 会いたいナァ」


 とーまはそう言って、顔をリズムよく横に振り出す。


「アプには絶対会わせない」


 俺は強く訴え、断固拒否した。

 それだけは絶対にさせてなるものかと。



「ん? 嫉妬カァ? 大丈夫ダ、リン! オレはオマエだけダヨォ?」


「それ以上言うと、本当に撃つからね⁈」


「嫉妬深いナァ」


(く〜! こいつ、マジで撃ちたい)


 俺のとーまに対する第1も第2も第3印象も最悪だ。ユナが店に二度と行きたくないと言っていた意味が分かった気がした。


 とーまは本当にThomasで第4兵器なんだろうか……今の彼を見ているととても疑問である。



「2人には名残惜しいケドさ、オレも仕入れの前にチョット約束があって、アンマ時間ナイんだワァ。昔命の恩人で世話んナッタ人から昨日の夕方急に連絡来てナァ」


「命の恩人?」


 少し前を歩く猫の着ぐるみにレミナは聞き返した。彼は顔を縦に振って、大袈裟にうんうんと頷く。


「オレがピカ受けて、1人でロットで目を覚ました時、記憶が何もナクテ途方にくれてたんダヨォ。そしたら、白衣着た2人が助けてクレたンダ。俺がソコソコ自立するマデ、しばらく世話んナッタ人ダヨォ」


 なんとなく……とーまの言葉が引っかかる。

 ピカは10年前の事件ではないかと。

 そして白衣着た2人は……


「助けてくれた2人の名前は?」


 俺は尋ねた。


「分かんね。女の方はセシ? セ…」


「セシリア?」


「そう! ソレだヨォ!」


 とーまの肯定した言葉に俺は確信する。



「もう一人はドナルド?」


「オッサンは忘れた」


 俺はポケットからアプにもらったメモを出した。

 ちらりと横目で覗いたレミナは、はっとした顔で俺を見上げる。


「もしかしてアプの両親か? とーま、私たちも一緒にその2人の元へ連れて行ってくれ!」


 レミナは強く、とーまに懇願した。



「オー? 別に構ーねーヨォ? 行こう行こう! コッチだ」


 彼はコッチコッチと言って手招きする。

 俺たちはとーまに誘導されて、街の南の入口へと向かった。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ