【博士の武器】
「そういえば、この武器たち喋る機能付いてるって言ってたけど、しゃべってる?」
俺はフェルテルの街まであと少しという所で、レミナに話しかけた。
正面に小さく、街らしきシルエットが見える。
「いや? 聞こえない。今までも聞いたことない」
レミナは答えた。
「もしもーし? もしもし? し◯しも?」
俺は光線銃に話しかける。
だが、応答はなかった。
なんだ最後のは? とレミナは笑う。
じっくり銃身を見ていると、下の裏の部分に何か指に当たる感触があった。
ひっくり返して見てみる。
「お、こんな所に小さなボタンが……」
「ほう」
レミナも興味津々に覗いて、これかもなと答える。
俺はボタンをポチっと押した。
『二……』
「お?」
『ニャーニャーニャ⁈ ニャーア? ニャアニャニャニャオン⁈ ニャーニャニャン……』
「…………」
「確かに喋ってるな」
俺はボタンをポチっと押した。
ずっとニャアニャア鳴っていた音はやっと止まった。
猫語は分からん。
というか、この機能はいらんだろう。
「レミナの鞭は?」
「どうせ同じように猫だろう? それにボタンなんてないぞ。……ん?ここ開くな……あ、中にスイッチ」
カチッ
「ピーーーーーー」
「お、今度は鳥か?」
レミナは苦笑いだ。
『コノムチ、ハ……呪ワレテイル……ザマミロ、オマエガ……』
カチ……
レミナはスイッチを切った。
「時間を無駄に過ごしたこと、この上ない」
「武器に喋る機能なんていらないね。さて行こうか」
俺とレミナは何事もなかったように歩き出した。