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リンが紡ぐ〜ある国のある物語〜  作者: dia
第13章 旅への出発
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【タケルとレミナと保つかな……】

「タケル! 待たせたな!」


 俺とレミナは博士の家を出て、島の小さい船着場までやってきた。


「おーリンとレミナじゃないか。そういや船でどこかに送ってほしいと行っていたな? どこに行きたいのだ?」


 彼の名はタケル・クロズワ。

 黒い短髪に日に焼けた肌、キリッとした顔立ちの彼はまだ20歳になってないくらい。

 ストゥートから逃げてきたユナとレミナを匿ってくれた恩人で、レミナの言葉の師匠だと言う。


 それ故に2人の言葉遣いはよく似ていた。

 なんとなく、楽観的で向こう見ずな所も似ている気がする。


「色々と送ってほしい! まずはアプの両親のところだ!」


 レミナは告げた。


「アプの両親? どこにいるんだ?」


 タケルは尋ねる。


「両親がいるところだな」


「つまりどこだ?」


「アプの両親がいる場所」


「つまり……」


「キリがないでしょうが‼︎ レミナ場所は知らないって言わないとタケルさん分からないだろ⁈」


 俺は延々と続く2人の会話に思わず突っ込む。


「ふふ、バレたか」


「何カッコつけてるの? タケルさんはキーンという名前に覚えがないですか?」


 不適な笑みを見せるレミナに俺は半ば呆れながら…次いでタケルに尋ねた。


「キーン? キーン……うむ。そうかそうか、ははは」


「タケルさん?」


「困った時は街の情報屋に行くのが1番だ! 港の街から少し南下した所のフェルテルの街へ行こう!」


 タケルはそう言って、船に乗るよう促す。

 港まで海上を行くようだ。


(タケルさん、分かんなかったんだな)


 俺は黙って頷いた。



「おーいいな! あそこなら人も冒険者もいっぱいだ。ギルドもあるし!」


 レミナも同意した。



「ギルド?」


「なんだ、リンは知らないのか? Guildっていうのは昔の商工業者で構成された職業別組合のことだ。組合っていうのは別名ユニオンとも言って、会社員などの不当な解雇や重労働などを防ぐなど労働環境の向上を目的として労働者で構成された組織のことだ。それによって……」


「ちょっ、何? レミナ急に……会社員って何?」


 俺はそれは違うよね? 絶対違うよね? と独り言のように呟く。


「レミナ、それは私も初耳だ。てっきりギルドっていうのは、冒険者たちが依頼を請け負ってクエストをこなし、報酬をもらうとこだと認識していたが、私の記憶違いだったようだ」


 タケルは何故かすまない……と謝った。


「いやいやいやいや! たぶん、この世界じゃタケルさんの方のギルドだと思いますよ? レミナの方だったら、この話はファンタジーじゃなくて現代ファンタジーに設定を変えなきゃいけなくなるから、タケルさんの方の設定で行きましょう? ね?」


 俺は自分でも何を言ってるのかよく分からないが、とりあえずこの世界観を壊さないよう努めた。


(なんか前にもこんなやり取りがあったようなデジャブ感……)


「ふむ、仕方ないな。それでいいぞ。さぁ船に乗ろうか。タケル港まで頼む」


 そう言ってレミナは船の桟橋を渡る。

 タケルは任せろと行ってレミナの後を追った。

 

 俺はこの2人と一緒に旅に出て、心が保つだろうか……と不安になりつつ船に向かったのだった。




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