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リンが紡ぐ〜ある国のある物語〜  作者: dia
第13章 旅への出発
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【全てが人類のため?】

「あ、ここにいたのですね。お待たせしました。所用は無事済みましたかね?」


 マラカナは1階の大きな扉から出てきた後、正面の出口の前で待っていた4人に話しかけた。



「ん。とても考えさせられる有意義な時間を過ごせたよ」


 カヲルは皮肉たっぷりに答えた。


「それは良かったです。行きましょうか? 私もこれからまだまだ仕事がありますので」


「ほいほ〜い」


 カヲルは軽く答え、彼女について行く。

 グレースたちはそれに続いた。






「みなさんは、これからどうされるのですか? 学院に戻られます?」


 エレベーターを作動させた後、中でマラカナは尋ねた。


「あ〜まぁ」


 グレースは曖昧に返事をした。




「そういえば、リンとアプは無事ユナに会えましたかね?」


「⁈」


 しばしの間の後、マラカナは尋ねてきた。

 彼女の言葉からユナの名前が出てきたことに全員が驚く。



「あんた、どこまで知ってんだ」


 カヲルは不穏な目を向ける。



「もちろん、全てを知ってるわけではないですが……」


 マラカナはちらりとグレースに目をやった。


「彼とコロア教授の会話から『レミナ』という単語が聞こえたので、リンの最終的な目的はユナだろうと。私から探すようにお願いしてましたしね。あぁ、そうそう、チョコの時」


 そう言ってニコリと作られたような笑顔をグレースに向けた。


「学院で盗み聞きしていたのは……」


「盗み聞きとは人が悪いですね。廊下を歩いていてたまたま聞こえてしまっただけです。ふむ、その例のリンとレミナですが……」


 グレースの言葉にマラカナはしれっと答え、ポケットから四角くて薄い小さなモニターのようなものを出した。


「まだ2人はピストシアの少し上の海上あたり? にいます。ここはユナのいる島かなんかかなー」


 モニター画面を覗きながらそう話すマラカナは不敵に笑っている。


「あんた、まさか最初から全部知ってて……」


 ワイズは眉を寄せて言った。


「将軍があの2人を簡単に野放しにすると思いますかぁ? もちろん居場所が分かるもの埋め込んでいますよ。2年前にユナとレミナが逃げたことも当然承知です」


 そう普通に話す彼女に全員は背筋に悪寒が走った。


 カヲルの父同様、マラカナもリンとレミナにしていることはさも当然のように話してくる……その感じが同じ人間としてすごく気持ち悪かった。


「あの2人にどうしてそんなヒドイことばかりできるの?」


 カトレアは泣きそうになりながら訴える。

 そんな彼女に相手は不敵に笑うだけだ。


 罪悪感など、持ち合わせていないのだろう。


 自分たちの目的や手段のためならなんでもやってみせる。

 ある種の非道な宗教活動にも似た感じがして、どうもグレース達は受け入れられないのだ。



「彼らはここで作られた存在です。管理するのは当然。でも、そうね。あなたたちにコレお渡ししましょう。きっとこれからあの2人を追いかけますよね?」


 マラカナはそう言って、グレースにこの小さいモニターを手渡した。



「どうして?」


 手渡されたものを見てグレースは尋ねた。


「私と将軍はリンとレミナの敵じゃないので。詳しくは……そう自分たちで経験して色々と自身の目で確かめて来た方がいいと思います。あの子達が世界で暴れれば暴れるほど、どんどん敵は襲ってきます。いずれ黒幕に世界の脅威とみなされ目をつけられるでしょう。それまでにあの2人には第4兵器のようにどんどん強くなっていってほしい」


「そんな……2人が危ないじゃないの」


 ワイズ は眉をひそめた。




「一体、何が目的なんだ」


 カヲルは睨み、マラカナにそう言い放った。



「それは決まってます。全てが人類の存亡のため……ですよ」


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