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令嬢は嗤う  作者: バーン
6/63

世界

廊下で思い思いに会話に花を咲かせていた生徒達の視線がこちらに集中し、女子の黄色いささやき声で華やぐ。テオドルフもフェルロッテも日常風景なのか動じること無くスタスタと進んでゆく。

こんな初日から目立つなんて思ってみなかった私は、恥ずかしさのあまり顔を真っ赤にして俯きそれでも二人について行くしかない。


やがて教室の前までくると入り口の前で話をしていた生徒達が彼に気がつき道を譲る。


「どうだ、アルメリーそのなんとかいうヤツはいるか?」

「んー……あそこ。数人で談笑してる中心の男子がそうです」


向こうも私に気がついたのか、ぞろぞろと固まって近づいてくる。

え、もう早速取り巻きの子分ができたの?


「これはアルメリー嬢、先程の事は何か悪い冗談であろう?私もすこし焦ったぞ。まぁいきなりレディの腕を掴んだ事には謝罪しよう。先ほどの件の返事、考える時間も欲しいだろうから数日の猶予を与えてもいいと寛大な私は思っている」


キャスパーは自信満々な様子で髪を掻き上げる。

だが、私の隣にいる人物に気がついたのかその顔が驚愕に変わる。


「なっ、テオドルフ様!?どうしてここに……」

キャスパーは明らかに狼狽していた。


テオドルフは堂々とした態度をしつつニヤついた表情を浮かべ、キャスパーの肩を抱いてキャスパーに語り聞かせるように耳元で囁く。

「フッ。爵位を嵩に一方的に無理矢理女性と付き合おうとする悪い男が居ると聞いてなぁ?」


キャスパーの額からどっと冷や汗が吹き出る。


「かわいこちゃんが悲しんでいるんだ。それだけで俺が動くには十分だろ?」


テオドルフはキャスパーを放し、かわりに私の肩に手を回して力強く引き寄せる。


「彼女は俺が面倒を見ることにしたんで、そこんとこヨロシク!くれぐれも彼女に手を出さないようになっ?彼だけでなく他の君達も分かったかな?……保護者に迷惑かけたくはないよねぇ?」


笑顔だけど目が笑っていない。直接は言及してないが「何かあれば権力を使ってお前の家や後見人に圧力をかけるぞ」と脅してるのだ。


ここまで大胆な事をしてくれるとは……コイツ何考えてんのよ!?でも私もここでだめ押しに何か言わなきゃ……彼の好意を削る為にも嫌な女だと思われないと……これは私も腹を括るしかないわね。よし!

私は腰に左手をあて右手を口元に寄せ、見下すように畳みかける。


「キャスパー様、そういうことで私はテオドルフ様とお近づきになりましたの。もう私のことは諦めていただけますこと?おーっほっほっほ!」


クラスは一瞬で静寂に包まれる。付き合ったとは言ってないからセーフよね……?あれ、もしかしてやりすぎた?目だけを動かしクラスを見回すが皆フリーズしたように固まっている。


キャスパーは膝から崩れ落ちるように床にへたり込み、魂が抜けたように放心状態になってしまっている。


廊下で事の成り行きを見守っていたフェルロッテはちょっとドン引きしてるし。


「俺からは以上っと……。あ、そこの君、まだ休憩から帰ってきてない他の子達にもよろしく伝えといて。じゃ、まだ時間あるしちょっとそこまで付き合ってくれるかなアルメリー?」


話を振られた子は何度も何度も勢いよく頷いている。

どこにいくのか分からないけど、わざとらしく恭しく手を差し出し優しい笑顔でこちらの返答を待っているので私も空気を読み頷く。

彼も頷き返し颯爽と教室から出て行く。私もそそくさとその後についていくのだった。


暫く歩き続け、校舎の影の人通りが少ない所までくると辺りに私達三人以外の人が居ないのを確認するテオドルフ。


「これで俺の立場を理解してるヤツならお前に手をだす事は無いハズだ。女子は噂話が好きだからすぐにクラス中に広まるだろ。あの場にいなかったヤツにもな」

「でもまさか貴女まであんなことを言うとは思ってもみなかったわ……」

「わ、私も何か言わなきゃ!と必死で……でも、あんなことしか思いつかなくて……」


フェルロッテは私の頬を優しく撫でて言う。

「それにあんな笑い方、もうしないでね?こんなかわいい顔には似合わないから……」

「はぃ……」


優しくされた嬉しさと恥ずかしさの余り、顔を赤くして俯く。


そこへ昼休みの終わりを告げる鐘の音が聞こえてきた。


「じゃ、また放課後な!」

「ええ、テオドルフ様」


笑顔で返答し、二人と別れ急いで教室に戻る。


すでに次の授業の為に皆移動したのか教室には誰もいない。荷物を取るために私の使っている机に戻ると、机の端に目立つ真新しい傷がついていた。


「……やっぱりこうなるわよね」


重い溜息が出る。入学式でも彼はあれだけ人気があったのだ。彼に好意を寄せている子も少なからずこの教室に居るのは間違いない。たぶん犯人は……いやいや今は考察する時間も無い。この件はひとまず頭の隅に追いやると、机から荷物を取り出し次の教室へ移動する。


次の授業は国土学だっけ……。


移動先の教室は、中央校舎に隣接する研究棟と呼ばれる建物にあった。この建物は三階建ての建物と同じぐらいの高さがある大きな建物である。エントランスは広く、天井まで吹き抜けになって空間が広がっているため、二階の通路は壁に沿うように奥に凹む形で配置されている。下から見えるその通路は実質、三階相当の高さにある。


奥の両開きの扉には『この先保管庫につき生徒の立ち入り禁止』との表記された看板が掛けられている。扉の周囲には人の背丈より二回りほど大きな戦士を象った石像が威圧するような目をこちらへ向けて複数体並べて設置されている。


目の前には立て看板が設置されており、『国土学教室1F→』と書かれていた。


教室に入ると、黒板に大きな地図が張り出されていた。

挿絵(By みてみん)

天井は高く、教壇がある床面から階段状に段差をつけて奥に行くほど高くなっていて1段毎に机が固定設置されている。


空いている席につき、教官を待つ。

始業のチャイムと共に教官が入室してきた。茶色のふわふわとした髪、くりっとした黒い瞳。童顔の可愛らしい女史だった。背丈は低めだが豊満な胸が歩く度に軽く揺れる。教壇までのわずかな距離にもかかわらず何も無いところでコケそうになり照れ笑いでごまかすようななんとも頼りない感じがする人だった。


彼女が教壇に立ち、話を始める。

「初めまして皆さん。私はリリアナ・ティルロット・ランベールといいます。まず皆さんにお伝えしないといけないことがありますぅ。本来この授業を受け持つハズだったバルナルド教授が、新学期直前に「新しい遺跡が発見されたらしい。ちょっと行ってくる。……新入生の授業はお前に任す。許可は取ってある」と調査に行ってしまいました」

「教授が不在の場合、本来はお弟子さんの誰かが授業を受け持つのですが、全員引き連れて行ってしまいました。お爺さ……いえ教授が調査に行くと暫くは帰ってこないので、その間私が代行で教官を務めますので皆さんよろしくお願いしますぅ」


目に涙を浮かべて泣きそうなリリアナ教官が深々と頭を下げる。

暫くして顔をあげると元の笑顔に戻る。


「ここに居るみなさんが、魔法兵団に入るのか、官僚を目指すのか私には分かりませんが、国土をよく知り、周辺国を知ればその知識は将来必ず役に立つことでしょう」


さぁ授業は開始よ!とでも言うように腰に手を当てポーズ決める。


「それではまず、私達の国、ザール王国について誰か答えられる者はいますかぁ?」


数人がサッと手を挙げる。教官は手に持った細長い杖でその中から一人を指定する。


「王国領地周辺はかつて四つの小国に分かれて覇を競っていましたが初代建国王によって統一され誕生した新しい王国で、穏やかな気候や広大な穀倉地帯に恵まれ、周辺諸国へ余剰食料の輸出を行っています。外貨の獲得、安定した税収・財政のおかげで魔法兵団の整備が進み、ノルデン帝国に次ぐ強国となっています」

「大変よいですね!流石に自国についてはよく理解してます。花丸あげちゃいます」


教官は背を向け、掲げられた地図を杖で指し示しながら解説をする。


「私達のザール王国の周辺には北にノルデン帝国、北東にイグニス共和国、南東にドワーフ王国、南にメディウム王国、メディウム王国のさらに南にハンディル神聖帝国という国々に囲まれています」


へー、ザール王国以外にも周りにそこそこ国があるんだ。ゲームでは王都周辺ぐらいしかいけるエリアなかったのに。どんな国があるんだろう……。おいしい食べ物がある国とかあるならいってみたいなぁ……。


他の国の妄想の方に意識が行っていて、気がついたら教官の説明は各国の詳細へと進んでいる。


「北のノルデン帝国は皇帝が支配する帝国で……」


この教官のゆるりとしたテンポのやさしい声を聞いてるとなんだか段々眠くなってくる。私は睡魔に魔法を掛けられたように眠気に抗うことができず、意識が夢の世界に沈みこんでいった。


……夢の中で友人達と共に他愛も無い話題で笑い合って下校している。周囲には横を通り過ぎる車、アスファルトの舗装道路。等間隔で植えられた街路樹に幾つもの高層ビル、買い食いによく寄ったコンビニ。あぁ、ここは私がかつて住んでいた所の風景だ。


だがすぐ傍にいる友人達の顔や名前などがまるで靄にかかったように思い出せない。

やがて友人達と分かれるいつもの交差点まできた。

「杏子ちゃんまたね」


私は応えるように手を振りいつものように別れを告げた瞬間、さっきまで手を伸ばせばすぐ届く距離にいた友人達が、まるで空間が引き延ばされたように急速に遠ざかる。彼女達が離れていくと同時に周囲の景色は朧気になり闇が加速度をつけて視界に広がっていく。


思いきり手を伸ばすがその手は空を切り何も掴めない。走って追いかけようとするが足は鉛のように重く動こうとしない。「まって!行かないで!」と叫んで気付いて貰おうとするが声がひどく掠れていていくら叫んでもまともに喉から声が出ない。

友人達はそのまま背を向けて進んでいき瞬く間に地平の彼方へ……やがて白い点となり消え失せ世界は闇に塗りつぶされた。


その喪失感と闇に包まれる恐怖感で私は目が覚めた。


ガバッと机から起き上がる。隣に圧を感じそちらへふり向くとリリアナ教官が目にじわりと涙を浮かべて今にも泣きそうな顔で立っていた。


「アルメリーさん?授業初日から熟睡するなんて、そんなに私の授業はつまらないですか~?」


私はこってり絞られるハメになり、実質授業はそこでストップしてしまった。





本日の授業が全て終わり教室の方へ戻る。近づくと教室のドアが半分開いており廊下に賑やかな話し声が漏れ聞こえてくる。


終礼が済めば授業から解放されることもありすでに仲良くなった者同士で賑やかな会話が交わされていたが、私が入室したとたん一瞬で静まりかえる。

室内を見渡すとクラスの女子達から妬みとも羨望ともとれる強烈な視線が私に突き刺さる。男子も女子達の雰囲気を察してか、気がつかない振りをしてるのかこちらに目を合わせようともしない。


クラス中にもう噂が広がって包囲網ができてしまったのかな……。

なんというアウェー感。学院で授業が始まってまだ一日目よ!?

これじゃまるで私が悪役みたいじゃない……唯一の救いは、まだこのクラスに友達がいないことだけね……。



終礼が終わり、鞄に荷物を詰め込み帰る用意をしていると廊下の話し声が聞こえてくる。


「ねぇねぇ聞いた?テオドルフ様が新しい子と付き合い始めたらしいわよ~?」

「えー!?本当?相手はどなたなのかしら?」

「それが男爵家の子らしいの。身分違いだよね~」

「本当ねー。あの方も王子様なんだから相手は最低でも伯爵家位じゃないと釣り合わないでしょう?」

「その子のどこが良かったのかしら?」

「さあ?分からないわ~。でもテオドルフ様って結構飽きやすいからすぐに捨てられるんじゃない?」

「あー、確かに。隣にいる子いつのまにかすぐ変わってるもんねー。つかの間の幸せってやつ?テオドルフ様も罪な人よねー。クスクス……」


うわー、もうクラスの外にも噂が伝わっているんだ。噂の伝播の早さに感心しつつ、用意を終わらせる。


彼に「また放課後な!」と言われていたのだけど、この教室のアウェー感を見させるわけにはいかない。彼に首をつっこまれるとさらにクラスメイトと拗れてしまう気がする。解決策はまだ何も思いつかないけれど、この問題は私自身で解決しないとダメね。


廊下に出て彼がくるのを待つ。待つ……。そんなに時間に追われているわけでは無いのに時間が分からないだけでイライラする。この世界、個人で持てる時計とかないのかしら……。

私も、もっと余裕を持ってもいいとは思うのだけど……なかなか前の世界の習慣って抜けないものね。

髪をくるくるしながら暫く待っているとテオドルフがやってきた。


「おっ!ちゃんと待ってるな!えらい えらい」

「約束しましたし。そのくらい私だって守りますわ」


周囲を見渡すがフェルロッテの姿が見えない。


「フェルロッテ様の姿が見えませんが、どうなされたのでしょう?」

「あー、なんか生徒会長に呼ばれてあっちへ行ってるみたいだ」


これはチャンスかもしれない。私が合法的にランセリアにお近づきになるには生徒会からのアプローチが早道よね……。


「テオドルフ様、私、生徒会室が見たいですわ!」


手を合わせ、小首を傾げ笑顔でお願いする。

可愛いらしい仕草に慣れてないから鳥肌が立ちそう。


「へー?生徒会に興味あるのか。じゃぁ今日の行き先決まりだな。いくか!」


私は目的が一歩前進できた喜びからにこやかに彼の後についていく。

校舎の廊下には宿舎に戻っていない生徒がまだ多く残り雑談を交わしている。学院内でも有名人の第二王子のすぐ後ろにぴたりとついていく私にも周りの好奇の視線が集まる。

彼は周囲の視線が集まることに慣れてるでしょうけど、私は慣れていない。どうしても羞恥から頬に血が上ってくる。今は一刻も早く目的地に着いて欲しい一心だった。


生徒会室はこの校舎の三階の中央辺りにあった。


「ここが生徒会室だ!」

生徒会室のドアの前でドヤ顔するテオドルフ。


「入ってもいいですか?」

目をきらきらと輝かせ、彼に尋ねる。


ドアを開けて入室するテオドルフについて行こうとする。

正面の会長席に座っている生徒会長のアルベールの姿が見える。彼と視線が合う。


「……テオドルフ、ちょっと待て。その後ろに連れている子はなんだ?」

「あー兄貴。この子のことか?」

「生徒会関係者ではない生徒をみだりに生徒会室へ入れるのは規則に反するぞ?」


テオドルフは頭をかき、こちらへ向き直る。


「ちょっと廊下でまっててくれ。話してくる」

「はい、ではお待ちしてますね」


私は廊下に戻り、話し合いの結果を待つ。

室内で暫く言い合う声が聞こえる。やがて静かになり、ドアが開いて中から頭を搔きながらテオドルフが出てきた。つづいてフェルロッテも。


「ダメだってよ。わりぃ……」

「あなた、どうしても生徒会へ入りたいなら期末テストで学年で20位以内に入ることね。それがクリアできた者の中から生活態度や教官の評価で声がかかる可能性があるわ」

「私、生徒会に入りたいんです。入れて下さい!雑用でもなんでもします!お願いします!」


必死に頼み込むがやはり『規則だから』の一点張りで入ることは出来なかった。


「学院内を一緒に色々と回ろうかと考えてたんだが、さっそく仕事があるらしく兄貴が放してくれそうにねーわ。ここに来るの最後にすれば良かったぜ。片すのにどれだけ時間掛かるんだか……。せめてお前を宿舎まで送ってやりたかったんだが……」

「いえ、私がここに来たいとお願いした所為で……すみません」

「まぁいいさ。今日は偶々運が悪かっただけさ。じゃ、アルメリーまた明日な」

「はい、では失礼しますテオドルフ様、フェルロッテ様。生徒会の皆様にもよろしくお伝えください」

「ええ、伝えておくわ。貴女も帰り道、気をつけてね」


学院の敷地内は安全なハズ……宿舎に帰るだけなのに一体何に気をつけろというのだろう?彼女には何か思い当たる節でもあるのかな……。この時私は、社交辞令だろうと軽く考えて二人に会釈をして帰路についたのだった。


ー 生徒会室 ー



「弟よ、学院に入学したのだからそろそろ王族としての自覚を持ち、言葉遣いや態度を改める良い機会ではないか?」


開口一番、アルベールがテオドルフに対し苦言を呈する。


「どうせ王位を継ぐのは兄貴だし、成績のほうも生徒会に入れたことで証明されたわけだ。家臣共もこの結果に文句は無いだろう。俺は自由にやらせてもらうさ」

「ふむ……私としては在学中にその姿勢を直してくれればそれでいい……次の件だ。先ほど連れてきていた女性は?」

「彼女、可愛いかっただろ?フフン。兄貴も気になるか?」

「お前が誰と付き合おうが構わないが、あまり深い関係にはなるなよ?北の帝国に何か動きがあった場合、高度な政治的判断が求められる。お前は国にとって大事な身体なのだ。お前もそれは分かっているハズだ。父上からも軽挙妄動は慎めと申しつけられているであろう?」

「へいへい、深い関係にならなきゃいいんだろ?大体その父上の所為で俺は婚約者の一人もいないんだからな。周りにいるお貴族様には大体婚約者がいるのに……」

「……軽い恋愛ごっこぐらいならしてもかまわないだろう?じゃないと俺はあまりにも……ッ!」


一瞬とても苦そうな表情をしたかと思うと、すぐにいつものへらへらした感じに戻る。


「いいよなー兄貴には美人の婚約者様がいるからな。この切なさが分からないだろうな」


アルベールが眉を顰める。


「テオドルフ様……」

フェルロッテが心配そうにテオドルフを見つめる。


部屋が暫く沈黙に包まれる。

テオドルフが重くなった空気を変えようと新しい話題を探すために部屋を見渡すと、その婚約者が居ないのに気がつく。


「そういや、副会長とマルストンは?」

「教官達と打ち合わせに行きましたよー!」

「なるほど了解ッ。エルネット先輩」


テオドルフは相好を崩し、声の主に応える。元気に反応したのはエルネットと呼ばれた笑顔が魅力的な小柄な上級生の女性であった。黒い長い髪をツインテールにしているのが一段と幼さを醸し出している。


「さぁさぁ、仕事仕事!ジャンジャンやって下さいね!」

「そうだ、この程度の仕事さっさとこなしてしまわないとな」

セドリックも同調して発破をかける。


その後、日が暮れるまで生徒会室の窓から漏れる明かりが消えることは無かった。

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