表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
令嬢は嗤う  作者: バーン
15/63

相談

もう一週間近くリザベルトと一緒にいるが彼女は自己主張は控えめで真面目だった。小耳に挟んだ噂話などをたまに話題として振ってみるが余り興味が無いらしく、彼女から何かが広がることは無いだろうと確信し、これならば話しても大丈夫と思い相談することを心に決める。


中央校舎にはゴシップ好きな令嬢が溢れており、常に新しい噂話に飢えている。どこで誰に聞かれているかわかったものではない。相談するのならもっと人が少なく相応しい場所でするべきよね。


昼食を食べ終わる頃に彼女に提案してみる。

「リザベルト様、このあとまだ休憩時間が半分以上残っているじゃないですか。よかったら一緒に学院図書館に行きませんか?」


コクリと頷き了承する彼女。


食器を片付け、二人で中央校舎から少し離れている学院図書館へ行く。

この時間は利用者が少ないのか、読書してる人もまばらに座っている二、三人だけだった。それでも念のために彼女の同意を得て筆談にする。こうすればより内容の漏洩を防げるし、考えも纏まり、なにより彼女が流暢に語ってくれるのだ。

受付で羽根ペンとインクを借り、折り畳んで持ってきた数枚の紙を制服のポケットから取り出し机の上に広げる。


『会長と二人で話がしたいの。何かいい方法ないかな?』

『面会の約束を取ればいいのでは?』

『二人っきりにはなれないよね?それ』

『どうして二人っきりになりたいの?ま、まさか告白!?だめよアルメリー、会長には婚約者がいるのよ!?』

『ちがーう!!』


体の前で大きく腕をクロスしてバッテンのジェスチャーをする。

クスクスと彼女が楽しそうに笑う。


『アルメリーさん、ここの処ずっと一緒に行動を共にしましたが、私の事はどのように思ってますか?』


やはり彼女も自分の事がどう思われているか心配だったみたいね。そんなところもまたかわいい。


『最初は会話の面でちょっと戸惑いましたが、見るからに美少女ですし礼儀作法や裁縫、ダンスもお手本になるぐらい上手で、性格も慎ましやかで真面目で素敵です。もう大事なお友達ですわ!あ、リザベルト様はどうですか?』


その返事を見た彼女は一瞬びっくりした表情を浮かべたが、少し頬を赤らめる。


『私がこんな感じだからマドレリア様から面倒な子を押し付けられたと、嫌な思いをしてるのではないか?と最初はそう思って不安でした。幼少の頃から皆対応が同じような感じだったのであなたも嫌々私と一緒にいてくれているのだろうと勝手に思いこんでいました。でもあなたはそんな素振りを少しも見せず、明るく接してくれて、それにできるだけ私に合わせてくれる優しさを持っていました。あなたと一緒に過ごすようになってから周りの景色が華やいで見えるようになった気がします』

『そんなに褒められるとなんか照れますね』


『私も、あなたのことは大事なお友達と思っています』


私と彼女、共に笑顔で頷く。


『なら、これはあなたに教えてもいいかな。もうじきセドリック様の誕生日を祝うパーティが開かれるの。毎年会長も招待されてますから、そこでなら好機もあるのではないかしら?』

『それはとても貴重な情報ですが、一体どこでお知りに!?』

『私、これでも一応セドリック様の婚約者だから……招待状も頂いてます』


通りでどこかで見たことがある気がしたのよ。そう、セドリックの婚約者。人見知りというのが災いして徒党を組むこともできず、終始積極的な主人公に押し切られ、彼女は早々に自分から身を引くのだ。おかげで彼女の印象は薄かった。今の今まで忘れているぐらいに。おおっと、回想はこの位にしておかなくちゃ。

頭を切り替えよう。そう、パーティなら、会場はセドリックの家が威信をかけて警備し守ってるだろうから護衛も離れて見てるだけだろうし、上手いこといけば何処かへ連れ出せるかもしれない。


『リザベルト様、私そのパーティに出席したいです!』

『友人ができたら連れてきても良いとゲスト用の招待状も少しですが頂いてますし、アルメリーさんは大事なお友達、喜んでお渡ししますわ!』


「ありがとうございます!!」


あまりの嬉しさに筆談であることを忘れ叫んでしまう。


いきなり発生した大声に数少ない利用者の視線が集中し、皆からじろりと睨まれる。


『でも今は招待状を持っていないので、後日お渡ししますね』

『はい!』

『それで、パーティはいつごろ開かれるんですか?』

『えっと約二週間後ぐらいかしら?詳しくは招待状に書いてあるわ』

『今からとても楽しみです!』



そこへ予鈴が聞こえてくる。


「あっもうこんな時間。そろそろ次の授業が始まりますね、教室に戻りましょう」

彼女も頷き、急ぎ次の授業へ向かうのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ