表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/5

1 ニート転生する

 別に書いている小説のついでに思いつきで書きました。

 大体5話程度で完結させるつもりですので、軽い気持ちで読んでいただけると嬉しいです。

 気が付くと見知らぬ場所にいた。


 おかしいな、俺は家にいたはずなのに・・・。


 というか外に久しく出ていない。だってニートだもん。


 そんなニートの俺はどうしてこんなところにいるんだ?


 周りを見渡しても何も無かった。


 辺り一面真っ白で、暗くも眩しくもないそんな場所。


 俺が疑問に思っていると、空から? まばゆい光が降ってきた。


 「ハローハローご機嫌麗しゅう。神様だよん」


 なんか出てきた。


 「これ、神様だ言うてるじゃろ。挨拶くらいせんか。そんなんだからクソニートなんだよ」


 いきなり失礼だな。でもニートなのは本当だからぐうの音も出ない。


 「は、はじめまして」


 辛うじてそれだけ言う。するとようやく光が収まり、神様を名乗る人物が見えてきた。


 自称神様は杖を携えたお爺さんで、白いひげを生やしている。


 お伽話で出てくるような、いかにもな神様テイストだった。


 「やれやれ、普通は名前も名乗るじゃろ。これだからニートは常識知らずで困る」


 「・・・佐倉蔵之介です」


 「蔵之介くんか。良い名前じゃのう。親に感謝せえよ」


 「は、はい。どうも」


 いきなりで驚いたが、俺はなんとなく状況を理解し始めていた。


 これはあれだよな。最近流行りの異世界転生。


 神様が手違いで人を死なせてしまって、その償いにチート付きで異世界へ転生させてくれるってやつだ。


 内心期待していると、自称神様は語りだした。


 「さて、君にはまず今の状況説明から始めようと思う」


 きた、きっとこの後はテンプレ通りの謝罪とチート特典の選択だ。


 俺はワクワクしてずっと考えていたチートを色々と思い返していた。


 「蔵之介くん。君は現世で無価値と判断された。よって異世界流転の刑に処す」

 

 あれ? なんか思ってたのと違うなぁ。


 流転の刑ってどういうこと? 転生と違うの?


 「驚くのも無理は無い。この刑は歴史上数人しか居ないからのう」


 混乱する俺をよそに、説明が続ける神様。


 「そもそも君達でいう現世は全ての生命にとって試練の場、そこでどれだけの功績を残すかで魂の価値が変わる」


 ふむふむ。功績ね、なるほど。


 「あらゆる命は一つの命題を目指し切磋琢磨しておる」


 「あの、すいません。質問良いですか?」


 「構わんよ、言うてみい」


 「功績って何ですか? どういうことをすれば功績になるんですか?」


 「うむ。功績とは先ほど言った命題へと近づくことで得られるのじゃ。どれほどその命題にたどり着くことに貢献したかがな」


 「命題って?」


 「ほほ、それは主が気にすることではない。他に質問が無ければ続けるぞい」


 どうやら細かいことは教えてくれる気はないらしい。


 俺は黙って話を聞くことにした。


 「おほんっ。主等には命題を目指して頑張って貰っておるが。蔵之介くん、君にはもうその役目からは降りてもらう」


 ん? どういうこと?


 「よく分かっておらんようじゃな。つまり君はもう現世には必要ないということじゃ。だから此処に呼んだのじゃ」


 えええ!? つまり俺は神様の事故的なアレじゃなくて、意図的に消されたってことですか?


 流転の刑ってそういうこと? もしかして俺はこれから地獄行きになるのか・・・。


 「ぼ、僕そんなに悪いことなんてーー」


 「しとるよ。もの凄くしとる。ま、善悪なんてもので語るのであれば君より悪い者も良い者も数え切れない程おるがのう」


 ニートってそんなに悪いのか。


 「ただ、生物無生物を問わず、現世のモノはあらゆる面において命題へと至る過程で役に立っておる」


 「な、なら僕だって少しは役にたってーー」


 「いや、君の場合は足枷にしかならんとの結論が出た。よって現世からは排除することが決定した」


 あまりの衝撃に何も言えなくなった。


 そして神様の言葉は俺にある一つの事実を告げていた。


 一周回って凄くない? あらゆるものが役に立つのに俺は足枷って。


 なんか面白く無いのに笑っちゃいそうだよ、僕。


 「あんまり落ち込んでは居ないようじゃの。まあ良い。前置きが長くなったの」


 神様は若干呆れた表情をして先を仕切り直しとばかりに大仰に腕を広げた。


 「蔵之介くん。君には現世からは出て行ってもらい、異世界で次の生を全うしてもらう」


 おお。やはり異世界転生か。


 なんだ、結局異世界転生じゃんか。人が悪いなぁ神様は。


 「異世界ってどういうところなんですか?」


 「ふむ。そうじゃなぁ、色々あるがどういう所が良い? 希望があれば極力聞こう。神様じゃからな、慈悲は持ちあわせておる」


 「良いんですか!? それじゃあ、やっぱり剣とか魔法とかの王道ファンタジーな異世界とかってあります?」


 「良いじゃろう。ではさっそく送ろうーー」


 「あ、ちょ、ちょっと待って下さい」


 いきなり異世界に転生させられそうになったので、俺は止めに入った。


 「どうした?」


 「あのー。異世界って危険な所ですよね?」


 「うむ、まぁそうじゃのう。現世で言えばクマやライオンがその辺を散歩しているのと変わらない世界ではあるのう」


 そんな恐ろしい所なのか、異世界は。でもファンタジーの魔物って大体そんな感じだよな。


 「転生してもすぐに死んじゃったら大変じゃないですか。なので、転生特典みたいなモノは貰えないかなぁ、なんて」


 「転生特典? 例えば?」


 お、貰えそうだぞ。危ない危ない、剣と魔法だけじゃ不安だからな。チートは貰ってかないと。


 「そうですね、例えばレベルが最初からMAXとか!」


 本当は成長チートとかでも良いんだけど、死んだらやだしな。


 「レベル? ああ、レベルか。それは出来んなぁ」


 あれ? 出来ないのか。もしかしてレベルの無いファンタジー世界なのかな。


 そういえば俺は剣と魔法のファンタジーとしか言ってないしな。俺の想像してるのと神様が想像してるのは異世界なのかも。


 「あ、あの。神様の言うファンタジーな世界ってどんな感じの世界なんですか?」


 一応確認しておこう。もし俺の考えてるのと違ったら変えてもらおう。


 「不安になるのもわかるが、ワシは神様じゃぞ。蔵之介くんの考えてる通りの異世界に送ってやろう。ほれ、ずっと部屋でRPGとかゲームやっておったじゃろ。あれと一緒じゃ。異世界というよりゲームの世界に入るもんだと思ってくれ」


 そっか、良かった。ゲームの世界か。俺も最初からそう言えば良かったな。


 スキルとかレベルとかあって、中世ヨーロッパ風のやつ。


 一安心した俺はもう一度転生特典を考え直した。


 レベルはムリとなると、やっぱり成長チートか。


 「ああ、ムリムリ。蔵之介くんの考えてるような特典?はムリじゃ」


 俺の考えを読んだのか、神様は俺が口に出す前に止められた。


 「そういうことをすると色々と矛盾が生じるからのう。せいぜいステータスメニューを見るくらいかの」


 ステータスメニュー? それってゲームの世界なら当たり前じゃないか。どこがチートなんだ。


 「なに、ステータスメニューさえ見れればそうそう死ぬこともあるまいて。比較的安全な村に転生させてやるから、文句を言うでない」


 ステータスメニューが見れれば死ぬこと無いってどういうことだろう。


 神様の言葉の意味を考えている内に白っぽかった部屋が暗くなり始めた。


 「では、そろそろ本当に送ることにするぞい。達者でのう」


 「あ、ちょ、っと待ってーー」


 俺の制止の声も虚しく、世界は暗転した。


 まぁ、良いか。これで俺の望んでいた世界に行けるんだから。


 現世なんてつまらない。


 俺は異世界で、現世の分もたっぷりと楽しんでやる。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ