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13 ナカノ村

長らくお待たせしました!ご心配をお掛けしましたm(__)m

他の方の作品を読んだりして勉強・リフレッシュしておりました。

 トオノ村を発って二日目の道中。

 寝不足でダウンしたリョウを荷車に乗せて俺とハル二人で引いている。


 昨夜までは元気だったのになぁ。どうしたんだろう。昨夜は楽しく男同士で語り合ってたのに。

 村から出た事なさそうだったから、慣れない旅で調子崩しちゃったのかな?もともと体は強くないみたいだし、早く治るといいな。


 がたがたと揺れる荷台で顔色が優れないリョウを心配しながら荷車を引く。

 ハルは道の脇に食べられそうな野草を見つけるとしばしば荷車を止め、数株を摘んでまた動き出すを繰り返していた。


「ハル、そんなことしなくても次の村に行けば買えるんだから」

「なん言いよっと。野草は体にいいけん、見つけたら取っとくとよかとに」

「ふーん、そんなもんか」

「性分ばい。好きにさせて」

「・・・ねえちゃん、酔い止めばなかと?」

「なかとよ」

「そうやろうね・・・」

 舗装されていない砂利道に頭をシェイクされて吐き気を催していたリョウは諦めて荷台から降り、後ろから力なく押し始める。


 休憩と食事を挟みつつ、夕暮れ時に一行は二つ目の村・ナカノ村に到着した。



 町から二つ手前のこのナカノ村は、規模としてはトオノ村とほぼ同じ程度で、やはり木造平屋の多い郊外の農村といったのどかな村。

 ただ、平時よりは人が少し増え賑やかさが増しているようだ。

 主に武装した冒険者と商人などが多数を占め、その行先は言わずもがな町で開催される武闘会である。

 トオノ村より町に近付いた分、道中や村の中の往来が増え始めている。


 ただ俺の中では生前の日本での座敷わらしで有名な遠野、サブカルで近年成長していた都市中野を連想する。

 しかしこの世界は日本と酷似しているオリエンタル世界だが当然あの日本ではなく、あくまでも言葉や習慣が似ているだけだと再認識。呼び名が同じだけで全く違う農村そのもの。

 久しぶりに同級生に会ったかのような驚きや懐かしさに似た感覚が思わず飛び出そうになったが、知らないハルとリョウの手前、平然を装いながらごくっと飲み込んだ。


 一行は宿にチェックインを済ませ、荷車の荷物を部屋に運び込んだ。


「とりあえず、一日ここに滞在して明後日出発しようと思う。どうだ」

「ええよ」

「おう、あんちゃんかまへんよ」

「リョウ、お前まだ体調良くないだろ。ゆっくり休んでろ」

「いや、気にせんでええよこれくらい」

「そんな調子の悪い顔で言っても説得力ゼロだ。食料の買い足しもあるし、いろいろしたいことあるからいいんだよ。お前は明日寝てろ。な」

「あんちゃん・・・」

「ハル、リョウを頼むよ。ちょっと外見てくる」

「分かった。そん間に夕飯作っとくね」


 了解と言い残し、部屋から出る。

 うーんと背伸びをするとどことなく気持ちが切り替わった。


「さてと、ちょっくら偵察と行きますかねー」


 懐から取り出した白布で顔面を覆い、宿屋を後にした。



 ◇



 夜・広場



 ストーーンッ!!


「「おおッ!」」

「うわーーー負けたぁ・・・」


 立て看板のように立てられた木の的に一直線に寸鉄が放たれ突き刺さる。


 夜が支配したナカノ村の広場。

 男たちの目の奥に映り込んでさながら闘志のように燃えている篝火。等間隔で照らされる広場にてわいわいと集っている男たちは都度都度一喜一憂している。


 十数歩先に立てられた的の中心点のわずか横側を射止めた寸鉄を引き抜く男。


「よしっ、俺の勝ちやな」

「くっそー、ゲンさんにはかなわねえ・・・」


 傍らの木箱に積み上げられた賭け金を集めほくほく顔のゲンと呼ばれた男。

 浅黒い肌に坊主頭の偉丈夫。鉄の胸当てや革の手甲・足甲の下に布服を纏ったムキムキでボリューミーな肉体。


「あんたすごいな、ひょっとして武闘会に出るのか?」

「おう兄ちゃん、よう気付いたな。将軍の座は俺のもんや!」

「へえ、じゃああなたは剣の使い手なんですね」

「いんや、俺は飛び道具専門や。接近戦はちとな。はっはっは!」

「なるほど・・・」

 覆面の青年が納得したようにうなずく。


「さあ、次俺と勝負したいのはおるか!」

「いやあ、ゲンさんが相手じゃあなあ・・・」

「勝ち目があらへんわな・・・」

「じゃあ、試しに俺がやってみていいですか?」

「おういいぜ、来な」


 人の輪を割って出てきたのは白覆面の青年。カケルであった。



 この「射的」のルールは概ねダーツと似ていて、円形の的に矢を放ち、より高い得点を取った方が勝ち。

 的までの距離は十数歩。投げるのは火箸のような尖った金属棒状の矢で一人三本。

 円形の木製の的は、中心から拳一つ間隔の同心円が三つ描かれており中心の円は黒塗りされている。

 中心の黒塗り円(黒丸)は十点、二番目の円内(中丸)は五点、三番目の円内(外丸)は三点、円外はゼロ点。

 最終獲得点は双方一番成績のよい矢の位置で判定する。

 ざっくり言うとルールは弓道寄り、フォームはダーツ寄りだ。


「よし、まずは俺が手本見せたる」


 肩慣らしだとばかりにゲンは対して深く狙うこともなく軽く矢を放った。


 ストーンッ!!


「「おお・・・」」

「中丸じゃ・・・」


 二番目の円(中丸)を抜いた矢。

 男は刺さった矢を抜きながら促す。

「今ので五点じゃ。兄ちゃんも投げてみい」

「はい、では・・・」


 ターンッ


「あーあー」

「なんじゃい・・・」


 刺さった位置は外丸からわずかに外。


「惜しいな、的に当たっても円の外出そとでとったらハズレやからな」

「分かりました」

「見たところ初めてやろう?やるんか?俺と」

「ええ、もちろんタダじゃないですよね?」

「ほう、兄ちゃんの方から言い出すんか。ええで俺は」

「分かりました。では勝負といきましょう」

 的に刺さった矢を抜きながら、覆面の奥で獲物を見つけた猛禽のような眼で笑った。




 見物客は誰もがゲンが勝つと予想して切られた火蓋。

 その第一投目。


 ストーンッ!


 先攻のゲン、外丸的中。三点。


「おいおい・・・」

「分かるが手加減しすぎとちゃうか・・・?」


 方々の見物客から囁かれる声。当の本人であるゲンも肩慣らし程度に首を回している。

「今んはちと手元狂ったなぁー」とすれ違い様に半笑いで手加減の言い訳を述べるゲンだが、構わず投射体勢に移る覆面の青年。

 一呼吸ののち、的めがけて矢が放たれる。



 ターンッ!



「おっ」

「ほう・・・」


 後攻のカケル、中丸的中。五点。


「やるやんか兄ちゃん。上出来やん?」


 矢の刺さる音が小気味いいものとなっただけでなく、わずかにフォームも経験者のそれに倣ったようなものとなっていた。練習と勝負とではがらりと雰囲気が変わった。


「ええ。勝負となると強さを発揮する男なんで」

「ほうー、ええなそいつは。だが、どこまでついて来られるかな」


 ストーンッ!!


 話しながらすぐさま放たれたゲンの第二投目。

 黒丸的中。十点。


「俺もタダで負ける気はないで、兄ちゃん」


 どよめく観衆の声の中、覆面の奥の目を射竦めるように犬歯を覗かせて猛獣然とニヤリと笑った。

19/6/5 加筆訂正・スペース改行追加等レイアウト修正

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