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教授と私の対話  作者: 黄昏の罅
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2.『トロッコ問題』①







「チセは『トロッコ問題』というのをご存知ですか?」



「トロッコ問題?」



「えぇ。フィリッパ・フットが提起した倫理学の思考実験です。」



「思考実験ということは、脳内での状況仮定で回答を出すものですね。

よく理科の問題である『摩擦をゼロと仮定して』みたいな」



「そうですね。では概要を説明しましょうか」





教授はいつも通りの優しい口調で分かりやすいように、ゆっくりと、吟遊詩人のように語り始めました。





─────────────────────────



ある線路を走っていたトロッコの制御が不能になってしまいました。


真っ直ぐ進んだ先では『5人』が線路の整備をしています。

そして曲がった先には『1人』が線路の整備をしています。


もしこのまま真っ直ぐ進めば『5人』は猛スピードのトロッコに避ける間もなく轢き殺されてしまうでしょう。





チセはたまたま線路の分岐器の前にいます。


もしもチセがトロッコの進路を変えたならば、『5人は助かります』。

しかし、『1人は確実に死んでしまいます』。

逆に、何もしなければ1人は死ぬことはありませんが、5人は確実に死んでしまいます。



チセ、貴方ならばどうしますか?








─────────────────────────





「思考実験ですので、チセはトロッコの進路を変える以外の行動を出来ないものとします。」



「線路を切り替えて、1人を殺す選択をした場合、私が法律によって裁かれる可能性はありますか?」



「さすが、理解が早いですね。

道徳的見解に重きを置いたものなので法的な責任は一切関係ありません。


どちらの行動ならばチセは『許される』のか、またどちらの行動は『許されない』のか、という観点で見てみてください。

本来はこの二つで回答するのですが、これは私とチセの対話。考えを述べながら纏めてみましょうか。」



「つまり、5人を助けるために1人を殺しても良いのか、という事ですよね?」



「そうです。」



「なら、私は─────。」







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