ただのしかばねのくせにへんじをするな
掲載日:2016/02/02
「このビデオを一週間以内に三人に見せないと、お前は死ぬ」
画面に表示されたメッセージを、私は部屋で一人ため息混じりに見返していた。一体こんな子供騙しを、誰が信じるというのだろう。無造作に停止ボタンを押し、忌まわしい文章が映る画面を止めた。
気分転換に、部屋の窓を開け放つ。夜の冷たい風に乗って、遠くのほうから死臭が漂ってきた。「ビデオ」を信じなかった大多数の人間の死体が、一週間経った今でもそのまま放置されている。アメリカ国防省の発表では、70億人中生き残ったのは約数千人程度らしい。当たり前だ。呪いのビデオなんて使い古されたネタ、世界中何処にいったって馬鹿にされてお終いだっただろう。今回は、それがまずかった。
信じるものは馬鹿を見るとは、私のことだ。
あの時ビデオを真に受けなければ、今頃皆と一緒に安らかに眠れていただろうに…。荒廃した世界の隅っこで、今日も私は一人死体に囲まれ途方に暮れていた。全く、出来の悪いビデオと自分の脳みそを、これほど呪ったことはない。




