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Мake the call  作者: 古河新後
1章 地下技術(アンダーラウンド)

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第40話 艦内交戦

 ガン、ゴン、ジジジ、ガーッ、と、ボルスティンとその部下である7人の筋肉達は持ち寄った道具を使い動力部へ向かって隔壁を破壊していた。


 隔壁は左右から壁が合わさる事で閉じるタイプであり、その繋ぎ目をバーナーで焦がして脆くし、電流ノコギリで隙間を切り広げ、バールや鉄材を隙間に差し入れると、テコの原理を使用して全員のパワーで無理やり通れる隙間をこじ開ける。


「動いた、動いた!」

「力を緩めんなよ!」

「間に挟むモン持ってこい!」

「ふぎぎぎ!」

「十分な隙間が出来たら、地面と溶接しろ!」

「そのまま抑えてろよ」

「早くしてくれ……」


 やいの、やいの、と自らの筋肉を酷使する作業に彼らはご満悦である。

 すると、写真に撮った見取り図を確認するボルスティンが抱える無線機に通信が入る。


『ボルスティンさんですか? レイチェルです』

「嬢ちゃんか? どうした?」

「レイチェルさん!?」

「向こうで何かあったのか!?」

「あ、バカ! 力を抜くな!」

「うわっ!」

「あっぶねぇって!」

「馬鹿野郎!」

「あーあ。閉じちゃった」

『! そっちで何かあったのですか?! 大丈夫ですか?!』


 ボルスティンは野郎共に無線のマイクを向けると7人は、大丈夫でーす、と友好的な声を返した。


「こっちは二枚目の隔壁を潰してるトコだ」

『隔壁の近くにパネルとレバーがあると思います。分かりづらい壁側ですが……』

「――あるな」

『隔壁の向こう側にも同じものがありましたら、レバーを同時に下ろしてみてください。隔壁が開くかもしれません』

「試してみる」

『気をつけて』

「そっちもな」


 ボルスティンは無線を置き、再度パワーによって開いた隔壁の隙間から向こう側に渡ると、同じようなパネルを見つけた。


「ナワ、そっちのレバーを触れ」

「うっす」

「3、2、1で行くぞ」


 ボルスティンとナワはレバーを持つと、タイミングを合わせて下げた。

 すると隔壁の閉じる抵抗が無くなり、力を入れていた筋肉達は、わー!? と吹き飛ぶ。


「上手く行ったか」

「みたいっすね」


 ボルスティンは無線を持ち、


「嬢ちゃん、こっちは上手く行った」

『わかりました。こっちもその手順で進んでいきます』


 完全に隔壁を固定する必要はなくなったので進行速度は大きく上がるだろう。ボルスティンは無線を切った。


「いやー、知識があると、ありがたいっすね」

「だな。野郎共、隙間を開けるだけで良い。向こう側渡ってレバーを引いて開けていくぞ!」


 うっす! と声を揃えて返事をする男たちが先へ行こうとすると――


「あ?」


 目の前から一体の人形ロボットが歩いて来た。






「やっぱりダメね」


 ヴァンに向こう側を任せている間も、レイチェルは暗証番号が解けないか完全な運任せでボタンを押すも、隔壁の反応はゼロだった。


「やっぱ、両方からレバーを引かないと無理な感じ?」

「みたいね。ヴァンを待ちましょう」


 レイチェルは荷物を置いて座ると、ディンもリュックバックを置いて座った。


「それにしてもさー。昔の人ってこんなにデカいモン作って戦争してたんだよね。なんでそんな事したんだろ?」


 天井を見上げながらディンは思う。ここまでする必要はあったのか? と。


「そうね。理由は様々だけど、誰かと誰かが戦う時は必ず勝者と敗者が決まるわ。そうなった時、規模が大きければ大きいほど、敗者の失うモノはとてつもないモノになるの」

「勝負は分かるけどさー。こんなの大げさだって」

「人の意地は止めどころが無ければ、どんどんどんどん膨らんでいくわ。この『戦艦』も最初から造る気は無かったのでしょうね」


 目測でも十数万人は収容できそうな『戦艦』である。もし、戦争後も空を飛んでいたとすれば多くのモノを人類にもたらしていただろう。


「『アンダー』では『戦艦』が沢山見つかっているのでしょう?」

「あ、そうなんだ! 姉ちゃんも言ってたんだけど……『戦艦』って全部空を飛ぶ様に作られてるんだって。なのにさ――」

「なんで、地下深くで発見されるのか? って?」

「うん。なんか、スゲー気になるんだ。レイ姉は何か知ってる?」

「私は地下に『戦艦』がある事さえも知らなかったわ。『スカイベース』でも、そんな話や記述は一切無かったの」

「空の奴らも何も知らないのかー」

「でも、唯一分かる方法があるわ」

「え!? なになに!?」


 ワクワクする目を向けてくるディンにレイチェルは、ふふ、と笑う。


「この『戦艦』の航海日誌よ。恐らく、艦長か副艦長が持ち回りでつけてるハズだから、管制室(ブリッジ)に行ければ確認できるかもしれない」

「おお! そっか、コイツは当事者だもんね」


 そう言ってディンは立ち上がると、アニキまだかなー、と隔壁に寄り、そわそわし始める。その様子にレイチェルも立ち上がったその時――


「ん?」

「は?」


 ゴウンッ、と目の前の隔壁が開いた。

 しかし、その向こう側に立っていたのはヴァンではなく――


『侵入者確認』


 一体のロボットだった。ディンと同じくらいの身長であるものの、金属質な装甲は丸みを帯びておりますスマートにまとまっている。

 すると、顔部が逆Y字に開くと、キュインと光が通り抜けディンとレイチェルをサーチする。


『艦員及ビ、身内登録者……該当者無シ』

「うぇ、気持ち悪いヤツだなぁ。隔壁開けたのはお前?」

「『アーミー・ドール』……ディン! その機体から離れて!」

『排除開始。死体ハ艦内ヨリ放棄』


 『アーミー・ドール』の顔が閉じると、ディンへ一瞬で踏み込み、手の平から出てきたブレードが彼女を貫いた。






「なんか……どんどん違う方に向かってる気がするなぁ」


 ダクトを道なりに通っているけれど、隔壁の向こう側に向かってる感じはしない。一旦、近くの通気口を外して外を見てみるかな。

 ボルトを外して、網を蹴り落とすと上半身をぶら下げてる形で下の様子を確認。

 同じ通路に見えるが、多分全く違う廊下だろう。進んでいる方向的にもレイチェルさんとディンが待つ隔壁の向こう側じゃないっぽいし。


「一旦戻るかな」


 その時、なんか光が通り抜けた。スキャンされた様な――


『児童……艦内登録無シ。侵入ト断定』


 そんな音声が聞こえて、そちらを見ると……うわ何アレ? 気持ち悪……顔を逆Y字に開いて見上げてるよ……

 その様子に少し硬直してくると、ロボットは、スッ……と手の平をかざして――


『排除開始』

「!?」


 僕は咄嗟にダクトから飛び降りると、元いた場所に火炎が噴射された。危っぶな……危うく炙り焼きにされるところだった――


『排除――』

「ソレは禁止」


 僕は着地と同時に踏み込むと、噴射される火炎をスライディングで下に潜って避け、ロボットの股下を抜ける。


 ロボットは開いた頭部を閉じて僕を追って頭を180度回転させて来たので、


「こっちをみないように」


 僕はその回転を助長させるようにロボットの頭を捻り、ぐるんっと一回転させてやった。


『排……除……ハハハイイイ――』


 よろけるロボットは、頭部を不自然に傾けながらも、背中を向けたまま僕に手の平を向けてきたので、


「やれやれ」


 膝裏を蹴って、ロボットの体勢を上に向けさせると火炎は天井を焼く。僕はその場で勢いをつけて前に飛びつつ、外れかかっている頭部を小脇に抱えると全体重を乗せて引きちぎった。


『命令イイイ……不可カカ……停止……』


 頭部は最後までそんな事を言っていたが、光が消えて沈黙。胴体も噴射する火炎が止まり停止した。


「これが防衛システムか……」


 設置系ではなく狩人系である。別れて進むのは悪手だったか……二人と合流しよう。

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