表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Мake the call  作者: 古河新後
序章 ゴミを漁る者

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

23/45

第23話 包囲陣

 【ゼノス】は明日、『スカイベース』のお偉いさん方の前で披露される新型機だ。

 軍関係者には機体名と軽い性能だけが伝わっており、後々量産機の主軸になるとも言われている。

 当然、今までよりも操作性や機動力が良くなり、【ソルジャー】の武装や換装をそのまま流用できる。調査や戦闘に置いてはこれからの標準となる機体となるだろう。


「しかし……まさか、ソレと戦う事になるとはねぇ」

「想定外だったか? バルディア」

「ああ。だが、それは機体(ゼノス)じゃない。ハーケン、あの【ゼノス】のパイロットはイカれてるぜ」


 ハーケンは同期であり、しがらみのない数少ない親友であるバルディアから当時の事を聞きながら酒を煽っていた。






 【ゼノス】の接近しつつ頭部バルカンによる牽制。

 第14小隊『ハウンド』は散開する様に回避しつつ、突破しようとする【ゼノス】を囲むように並走飛行へ。


 『飛行機関(ジャナフ)』の性能はどの機体も変わらない。つまり、囲まれたら振り切る事は不可能なのだ。


『各機、『電磁アンカー』を用意。狙いは四肢と『飛行機関(ジャナフ)』だ。標準合わせたヤツから発射しろ』

『『『『了解!!!!』』』』


 隊長であるバルディアの指示に部下たちも返事を返す。持ち合わせた装備は実弾ではなく、捕縛用の『電磁アンカー』を発射するライフル銃だ。


 『ハウンド』に【ゼノス】を撃墜する気はない。

 無論、新型と言う事もあるが、まだレイチェルの安否が『スカイベース』より確認が取れてない以上、コックピットに居る可能性を考え、万が一にも死なせるワケにはいかないからだ。


 【ソルジャー】の一機が【ゼノス】の脚部を狙って『電磁アンカー』を撃つ。弾丸よりも低速で放たれる円錐の弾丸は、命中した電磁機器に機能不全(メルトダウン)を引き起こす。

 対『パースロイド』用の鎮圧兵器の一つだった。


『お?』


 しかし、【ゼノス】は身を翻して回避。しかし、回避先はまだ囲い内。別の機体からすれば狙いやすさが上がる。


 回避後の【ゼノス】からすれば死角――後方からの射撃。狙いは『飛行機関(ジャナフ)』であるが、次の瞬間にはフワッと、機体を寝かせるように水平に向けて、その一射を回避した。


『おお、やるじゃねぇか。まさか……レイチェル様が操作してるとか?』

『実は凄腕だったとか、ファンとしちゃアガるぜ!』

『真面目にやりなさいよ。こっちはさっさと済ませてご飯を食べに行く予定なのよ』

『なんか腹減ってきたな』


 などと、的当てゲーム感覚で包囲した陣形から各々『電磁アンカー』を撃つ。


『おいおい。なんだそりゃ』


 しかし【ゼノス】は針の穴を抜けるように回避を続け、まるで当たる気配が無い。


 【ゼノス】は【ソルジャー】よりもカタログスペックが多少良いだけ。軍部ではそう言う評価だった。

 圧倒的に変わるとか、これまでに無い武装やシステムを積んでいるとか、そう話は聞かない。


『おいおい【ゼノス】の積んでる『飛行機関(ジャナフ)』って、本当に俺らと同じヤツなのか?』


 それどころか、まるで水得た魚の様に縦横無尽に上下左右への機動を行い、『電磁アンカー』を回避し続ける。

 その時――


『隊長!?』


 【ソルジャー】(バルディア機)が仕掛けた。回避を専念する【ゼノス】へ接近し、直接の捕縛を試みたのである。


『必要であれば俺ごと撃て!』


 バルディアは感づいた。距離を置いていては、この【ゼノス】には一生当たらない。


『何者かは知らんが――』


 接近しながら『電磁アンカー』を撃つ。【ゼノス】は回避しつつ姿勢を整えると正面に【ソルジャー】(バルディア機)を捉え、頭部バルカンを撃つ。


『曲芸を許し続けるほど、『ハウンド』は甘くないぞ!』


 【ソルジャー】(バルディア機)は肘部のシールドで防御しつつ接近しながら『電磁アンカー』を構える。

 上下左右どこに逃げようとも、補正し当てられる。この距離なら外さん!


 包囲に加えて、イレギュラーな接近。【ゼノス】へ詰みを押し付けるバルディアの判断は間違いではなかった。


『――――』


 彼が間違えたのは、【ゼノス】の物差しをこれまでの『パースロイド』と同等に考えた事。故に、


『接近してくるだと!?』


 接近してくる【ソルジャー】(バルディア機)に対して【ゼノス】も接近してきたのだ。しかし、それは愚行だ。こちらはトリガーを一つ引けばそれで終わり――


『――――くっ』


 しかし、バルディアは撃たずに回避を選択する。機体同士の激突による被害はコックピットに居る可能性があるレイチェルに危険が及ぶからだ。


 【ソルジャー】(バルディア機)は姿勢を整え、振り向きながら【ゼノス】へ『電磁アンカー』を構える。


 しかし、【ゼノス】は眼前、手の届く位置まで接近して来ていた。

 【ゼノス】は『電磁アンカー』の銃身に手を添える程の内側。撃てない。そう……バルディアは(・・・・・・)――


 ターゲットロックオン。命中率――100%――


 合図は必要ない。周囲を囲む【ソルジャー】は味方への誤射設定(セーフティ)を外し、【ソルジャー】(バルディア機)事、【ゼノス】をロックオン。


 一斉射撃が見舞われた。


『なん!?』

『はぁ!?』

『嘘だろ!?』

『どう言う頭してんだ!?』


 【ゼノス】は【ソルジャー】(バルディア機)を掴むと、瞬時に『飛行機関(ジャナフ)』出力を上げ、盾にする様に押し出したのだ。

 これにより、前方に面した射撃は【ソルジャー】(バルディア機)が受け、後方からの射撃は射線を外れる事になる。


『そう、来るか!』


 バルディアは『飛行機関(ジャナフ)』の出力を拮抗しようとするが、味方の『電磁アンカー』により出力が上がらない。


『わかりやすいですよ、貴方達は』

『!?』


 至近距離による【ゼノス】パイロットからの通信。そして、囲んでいる【ソルジャー】の一機へ向かって、【ソルジャー】(バルディア機)を離すように投げつけた。


『っ! 隊長!』

『! シェル! 俺をキャッチしなくていい!!』


 バルディアは自身の『電磁アンカー』が【ゼノス】に奪われている故にそう咄嗟に叫ぶが、時すでに遅かった。


 【ソルジャー】(シェル機)が【ソルジャー】(バルディア機)を受け止める。その瞬間、通過する【ゼノス】より撃たれた『電磁アンカー』が二機を機能不全(メルトダウン)させた。


 落下する二機。特に【ソルジャー】(バルディア機)は完全に暗転し、『飛行機関(ジャナフ)』の機能も停止している。


『隊長っ!』


 通信も停止。【ソルジャー】(シェル機)は出力低下を招いている自機で何とか【ソルジャー】(シェル機)を支えて対空する。

 その二機へ【ゼノス】はトドメを刺すように『電磁アンカー』を構え――


『野郎!』

『これ以上は!』

『させるか!』


 三機の【ソルジャー】が包囲を解き、その【ゼノス】へ牽制しながら迫る。


『本当に誘導しやすいですね』


 通信。それは、【ゼノス】を操るのがレイチェルではない事を認識させると同時に、


『!』


 入れ違う様に『ハウンド』の乱れた包囲を【ゼノス】は突破する。


『俺とジョエルで追う! ヨネハは隊長とシェルを――!』


 追おうとした瞬間の【ゼノス】の反転。振り向きながら撃ってくる『電磁アンカー』を何とかシールドで受けるが、


『なっ!?』


 次に衝撃。【ゼノス】はシールドで視界が覆われた瞬間に加速し、【ソルジャー】を蹴り飛ばしたのだ。


『クレイジーだな!』


 【ソルジャー】(ヨネハ機)が真横の【ゼノス】に『電磁アンカー』を向ける。だが【ゼノス】の頭部バルカンにより、逆にモニターを潰された。


『んな!? ぐっ!!』


 そして、『電磁アンカー』による射撃で機体は機能不全(メルトダウン)に追いやられる。


 その隙に蹴り飛ばされた【ソルジャー】は姿勢を整え『電磁アンカー』を構えるが、次の瞬間、モニターに【ゼノス】の手の平が映る。

 頭部を掴まれる程に接近されていた。


『お前は……何者だ?』

『貴方達の中で勝手に決めてていいですよ』


 そして、蹴り離された瞬間、『電磁アンカー』を撃たれ機能不全。明滅するモニターは見下ろす【ゼノス】だけが映し出されていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ