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Мake the call  作者: 古河新後
序章 ゴミを漁る者

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第22話 生まれた所が良かっただけ

 発進ステーションは『スカイベース』の各地に存在する基地には配備されており、上部と下部の二方向への出撃を行える。

 エレベーター式とレール式の二つがあり、主に『スカイベース』上部で起こる事案にはレールを使い、下部で起こる事案に対してはエレベーターを使う。

 特にエレベーター式では20機を同時に出撃させる事が可能であり、死角になりやすい『スカイベース』の下部は特に警戒されていた。


『管制室、第14小隊出撃する』

『許可する』


 武装を搭載した14小隊5機がエレベーター式で降下する。






 フォオオオ――と、ジェットエンジンでは考えられない程に静かな駆動音を発する『飛行機関(ジャナフ)』は、ヴァーミリオンとレイチェルの乗る【ゼノス】を問題なく運んでいく。


「これからどこへ行くの?」


 モニターに映る数値を見ながらレイチェルはヴァーミリオンに問う。


「故郷に帰ります。貴方からすれば不便な所ですよ」

「と言う事は……『廃墟都市』?」

「やっぱりそう言う認識なんですね」

「ごめんなさい。言葉を選ぶべきだったわね」


 ヴァーミリオンが“故郷”と言う場所だ。廃墟と言う表現は不適切だとレイチェルは謝罪する。


「貴女は随分と変わった考えをしていますね。周りからおかしいって言われません?」

「思われてはいたでしょうね。ただ、“アークライト”と言う名前がソレを口にさせなかったんだと思うわ」


 学生時代は周りが気を使い過ぎる事もあって、飛び級でとっとと卒業した。

 その後は停滞している技術を進める為に『パースロイド』の可能性について模索し始め、あらゆる設計プランを父と『侯爵(マークェス)』に提唱。

 不可能とされていた【ソルジャー】へ緊急脱出装置を内蔵する事に成功し、更に『ナンバーズ』専用機の開発計画書を提出した事で『特務特機開発責任者』としての権限を持つ事になった。


「生まれた所が良かっただけなのかもしれない」

「随分と未来を見てるんですね」


 と、ヴァーミリオンは【ゼノス】を操作しながら告げる。


「僕は考えても精々一週間先の事くらいですよ」

「……『廃墟都市』……で良いかしら?」

「皆は『アンダー』って呼びますけど、好きにどうぞ」

「じゃあ、『アンダー』で。そこはどんな所なの?」

「基本的には区画事に統括者が居て、独自のルールがあります」

「貴方の住んでる所も?」

「僕の所は一番厳しいかもしれませんよ。でも、一番危険は少なくて唯一、銭湯があります」

「……部屋にシャワーは無いの?」

「ありません。所得が少ない人は基本タコ部屋ですよ」

「…………」

「帰りたくなりました?」

「ちょっとだけね……」

「後悔するって言ったでしょ?」


 そう呟くレイチェルの言葉にヴァーミリオンは笑って返す。それは、記憶喪失を装ってない彼の本当の“笑み”だった。


「そう言えば貴方、最初から記憶喪失じゃなかったのよね?」

「そうですよ」

「それなら、私が貴方の事で御父様と御母様と言い合いをした時、止めてくれたの?」

「まぁ……そうなりますね」


 あの時、初めてヴァーミリオンから強い主張が出たのだ。それによって場は一旦収まったのである。


「なんで?」

「……僕は嫌――」

『あー、そこの【ゼノス】聞こえるか?』


 その時、通信が割り込んでくる。


『こちら、第14小隊の隊長バルディアだ。即刻、前進を停止しこちらの庇護に入れ。抵抗するなら戦闘不能にさせてもらうぞ』






 【ゼノス】の前方より出撃した6機の【ソルジャー】が迫る。


 第14小隊『ハウリング』。

 『スカイベース』は80の外交小隊によって機能している。

 『パースロイド』を使い調査を行うのがNo.41〜80。

 地上への斥候や潜入を行う工作員がNo.21〜40。

 そして、直接的な戦闘を行うのがNo.10〜20であり、『ハウリング』はその中に含まれるNo.14である。

 ヴァーミリオンとディンが戦った調査隊の部隊とはワケが違う。連携や武装の扱いに長けた、本職の戦闘員だった。


『おーい、【ゼノス】ー、聞こえてるだろー? いや、ホントに止まれってマジでー』

『バルディア隊長、もう手足撃っちゃいましょうよ』

『止めろ。起動IDはレイチェル様のを使われてるって話だ。当人の姿が『スカイタワー』内部で確認されてない』

『マジっすか?!』

『マジだ。そんてもって、ヴァーミリオンってヤツも行方不明だ。ぶっちゃけ、奴がレイチェル様を攫った可能性が非常に高い』

『ヴァーミリオンの見た目は少年ですが……女性とは言え、体格的にも差があるレイチェル様が言いなりになるとは思えません』

『記憶喪失と偽っていたそうだ。思ったよりも姑息なのかもしれん』

『許せねぇ……俺たちのアイドルである、レイチェル様とコックピットで二人きりだとぉ!?』

『レイチェル様ってアイドルだったけ?』

『ファンクラブがあるらしい。レイチェル様は興味なさそうにしてたが一応は認知してるそうだ。スカイタワーの技師は殆ど入ってるぞ。軍部にもそこそこ居る』

『うわぁ……男ってホントにどうしょうもないわね』

『俺の娘もファンだけどな! あの、クールビューティぶりがカッコいいんだと』


 その時、警告音が響いた。【ゼノス】が頭部バルカンで攻撃を仕掛けて来る。


『武装は無いって話じゃなかったっけ?』

『頭部バルカンだけだ』

『あの中で……レイチェル様とヴァーミリオンとか言う、ガキが二人きりで……』ギリッ(歯を噛み締める音)

『マジで突破出来るって思ってんのか?』

『各機散開! 包囲しつつ無力化! レイチェル様が乗ってる可能性が高い! コックピットは狙うな! それ以外に喰らいつけ!』

『『『『『了解!!!!!』』』』』

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