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Мake the call  作者: 古河新後
序章 ゴミを漁る者

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第11話 勉強謹慎

 一機の『パースロイド』【ソルジャー】がフォン……と“アークライト家”の屋敷の近くに着地した。

 中庭の片付けを任されていた門番と庭師は【ソルジャー】のコックピットが開いて降りてくる人物に注目する。


 それは仮面を着けた中肉中背の男だった。両手足全て義足と義手なのか、肌と表情を一切晒さない見姿で降り立つ。

 その姿は『スカイベース』でも最上級の人物。門番は慌てて門前に戻った。


「『侯爵』。申し訳ありません、見苦しい様をお見せ致しております」


 『侯爵(マークェス)』は『スカイベース』に最も古くから存在する『主席』一族であった。その姿は、教科書に残されている偉人たちの写真と寸分違わない。


『いや、トリエルが迷惑をかけたようだ。申し訳ない』


 合成音声の様な声による謝罪に門番は慌てふためき、成り行きを見ていた者達はギョッとした。


「や、止めてください! 『侯爵(マークェス)』に謝罪させるなど……噂を囁かれるだけでこの業界では生きていけませんよ!」

(トリエル)の間違いは、(ワタシ)の責任だ。傷一つつけずに保護してくれているそうだな』

「後で記録を見れば分かりますが……私は一度、止める為に電撃と銃撃を行っています。申し訳ありません」

『そうか。あの子を御しきれなかったワタシの落ち度だ。それに傷一つ無いのだろう? ならばその件は気にしなくて良い』


 門番は、止める為だとは言え何らかの処罰を覚悟していたが、ホッと胸を撫で下ろす。


『あの子を迎えに来た。デューク主席に来訪する許可を取っている。入っても良いかな?』

「確認します。少々お待ちを……」

「お父さん……」


 その時、【リベリオン】を通して父が迎えに来た様を確認したトリエルが自ら屋敷から出てきた。

 その後ろにはレイチェルとロートスの姿もある。トリエルは少し気まずそうに『侯爵(マークェス)』の元へ歩いて来た。


『門だけ開けてもらえるか?』


 門番はレイチェルに視線で確認すると、開けるように頷いたので外開きに門を開けた。


「お父さん……その……」

(これ)はお前がやったのか?』


 ロートスとの戦いによってボロボロになった庭の事を言及すると、トリエルはビクッと反応した。


「……うん……ごめんなさい……」

『ワタシに謝るのか?』

「『侯爵(マークェス)』様。その件はもうこちらで収集しています」


 『侯爵(マークェス)』は改めてレイチェルへ仮面越しに視線を向ける。


『謝ったか?』

「……うん……」

『自分からか?』

「……レイチェル様に言われて……」

『明日からお前は三日間、“調整”以外は勉強謹慎だ。最終日にその間に学んだ事をテストする。99点以上取れなければ更に三日の延長だ』

「……う……はい……」

『【リベリオン】に乗って先に帰りなさい』


 トボトボと歩くトリエルは、不意に開くように空間に現れたコックピットに乗り込むと、ハッチを閉じた。

 そして、“見えない機体”はフォン……と中央首都へと去って行った。


『騒がせてすまなかった。損害はこちらで全て賠償しよう』

「後に明細を送ります。苦労しているようですね」

『強制的に制御する事は出来る。だが、それでは機械と変わらん』

「『機械同調計画マシンナリープロジェクト』は難航していると見ても?」

『いや、ソレは問題ない。問題があるのはワタシの育児体制だ。感情が先行する時期とは難しいな』


 『侯爵(マークェス)』は【ソルジャー】に乗り込むとコックピットに座り、ハッチを閉じる。


「私にはトリエルは可愛く映っていますよ?」

『立場を理解してもらわねばならない。あの子もソレが分かる年頃だ』


 【ソルジャー】は背を向け、『飛行機関(ジャナフ)』を起動すると浮かび上がった。


『『アンノウン』の件は“アークライト”の調査結果を待つことにした。後に詳しく通達が届くだろう』

「確認いたします」


 それだけを言い残し【ソルジャー】は、フォン……と中央首都へと帰って行った。






 その姿が見えなくなるまでレイチェルは見送り、屋敷へ踵を返す。


「ロートス、御父様から連絡は来てる?」

「はい。目を覚ましたら件のパイロットを中央首都へ連れて来る様にと」

「中央首都に? なぜ?」

「有益である、とだけです」

「……『機械同調計画マシンナリープロジェクト』は各『主席』一族から一名の斡旋は必要だったわね」


 屋敷に入り、居間に戻りながら話を続ける。


「そうですな。技術を分け与えると言う名目です。“アークライト”からの斡旋はまだです」


 『機械同調計画マシンナリープロジェクト』は更なる人類の進化の為に立ち上がった計画だ。

 トリエルと言う実例が出ている以上、有効な結果であると証明されている。しかし、安全性に関してはまだまだ未知数だ。

 被検体(・・・)は必要なのであるが、誰振り構わず実験をしても意味はない。やるのなら高い技量を持つ者が推奨されていた。


「……【ダークブルー】との戦いは遠目でもハイレベルだったわ」

「恐らく旦那様は【ダークブルー】目線の映像データを受け取り、拝見なさっているハズです」

「……あの子を被検体に差し出すつもりね」


 救助した少年は見た目でも、16歳未満だった。

 『機械同調計画マシンナリープロジェクト』は被検体の若ければ若いほど、施術後の感応が早い。


「他の『主席』一族より遅れを取らぬ為です。旦那様は“アークライト”全体の事を――」

「わかってるわ」


 この件にレイチェルが反論する余地は欠片もない。何故なら……【リベリオン】を設計したのは他でもない彼女であるからだ。


「お嬢様」


 すると、医療スタッフの一人がレイチェルを探していたのか声をかけてきた。


「少年が目を覚ましました」

「ホント? 行くわ」


 治療している部屋へ歩を進める。


「しかし……少し問題が……」

「問題?」

「はい。どうやら……記憶を失っているようなのです」

侯爵

挿絵(By みてみん)

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