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第3話 眠れる森のお姫様

 拓也は二階へ上がると、もう一人の双子の妹である冬香の部屋の前で……というより夏香と冬香は同じ部屋なので、夏香の部屋でもある。拓也は部屋の扉を叩き、一度声をかけてから中へと入った。

 部屋の中は可愛いぬいぐるみ等が置かれていて、女の子の部屋らしさがある。本などもきちんと並べられ、ゴミ一つ落ちてなくとても綺麗に整頓されていた。がさつな夏香だけだったら、きっと足の踏み場もない状態になっていた事だろう。

 夏香と冬香は二段ベッドを使い、冬香は下の段でまだ眠っている。拓也はベッドの側まで行き、眠っている彼女の寝顔をそっと覗き込んだ。


「ううん……。こうして見ると、眠れる森の美女って童話に出てくる永遠の眠りにつくお姫様って感じだな」


 拓也は、小声で呟いた。拓也だけではなく、他の誰が見てもそう思える事だろう。冬香は髪が腰のあたりまであるストレートのロングヘアで、運動は苦手な大人しい性格、頭が良く読書が大好きな知的な美少女。夏香の方もショートヘアで、体を動かす事が大好きな活発なスポーツ万能な美少女。夏香の頭は冬香とは違い、拓也と同レベルであまり良くはなかった。


 冬香の口元からは、スー、スー、という寝息が漏れる。


「何とも、気持ち良さそうに眠ってるなあ」


 拓也は暫く、黙って冬香の寝顔を見つめる。


「それにしても冬香のやつ、本当に気持ち良さそうに眠ってるなあ。眠れる森のお姫様か……」


 彼女は低血圧のせいで、朝は何度、拓也が声をかけても、直ぐには起きてくれなかった。


「確か森の中で眠り続けるお姫様は、王子様の口づけで目を覚ますんだよな? て、事は……。もしかして、俺の口づけで冬香は目を覚ます……なんて事は……」


 何やら、とんでもない事を拓也は口にしている。そして、暫く考え込んでいたのだろう、腕を組みながらウンウンと頷きながら、ポンと軽く手を合わせた。


「いや、ありえるぞ」


 妙案が浮かんだとばかりに、拓也の瞳は輝いていた。


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