第14話 ゴールデンウィーク、旅行の話し合い
学校の授業は終わり、拓也は帰宅する。家の玄関に入ると、いつも拓也より先に帰っているはずの冬香の靴が見当たらなかった。
「あれ? 冬香のやつ、まだ帰って来てないのか?」
家の中を見て回ったが誰もいない。拓也は部屋で制服を脱ぎ、部屋着に着替えてベッドに横になった。
「それにしても、佐伯のやつ……思いっきり殴りやがったなあ」
佐伯優子に殴られた右頬を手で擦る。暫くボーっと天井を見つめていると、大きな欠伸が出た。
「何だか、少し眠くなって来たな。少し、眠っておくとするか」
拓也はベッドに横になったまま、瞼を閉じた。
それから暫くして、昨日と同じく冬香に起こされる。彼女は、学校の制服姿のままだ。
「冬香、帰ってたのか?」
「うん……ただいま……」
「おお、お帰り。今日は図書館にでも寄っていたのか?」
「違う……。古書店に寄って……気に入った本を探してた……」
「そうか。それで、何か冬香のお目に叶った本はあったのか?」
「うん……色々あった……」
「それは良かったな」
「うん……」
冬香は小さく頷いて、どことなく嬉しそうな顔をしている。
「ねえ、兄さん?」
「おお、何だ?」
「もうすぐ……夏香が帰って来る……」
拓也は、時計に目を向けた。
「おっと、これは急いで風呂を沸かしておかないと不味いな。起こしてくれて、ありがとな冬香」
「うん……」
拓也はその後、急いでお風呂を沸かし、ダイニングで夕食の用意を始めた。
夏香が学校から帰って来て、今はリビングにあるテーブルにて兄妹三人で夕食を摂っている。食べ始めてから暫くして、拓也は今朝冬香と話をした温泉旅行についての話題を口に出した。
「なあ、夏香?」
「何?」
拓也に話し掛けられても、夏香は箸を止めない。
「今朝、ゴールデンウィークの事で冬香と話をしたんだけどさ」
「ゴールデンウィーク? それがどうかしたの?」
「ゴールデンウィークの連休、一泊二日で温泉旅行なんてどうかなって思っているんだけど?」
「一泊二日の温泉旅行?」
夏香が箸の動きを止めて、拓也に視線を向けた。温泉旅行に喰いついたのだろう。
「ああ、温泉旅行だ。今朝、冬香がゴールデンウィークは温泉に入りたいって言うからさ。それで、夏香の方はどうなのか意見を訊きたいんだけど?」
「良い! 凄く良いと思うよ温泉! 冬香、ナイスアイデア!」
夏香は冬香の手を握り、激しく上下に揺らす。
「ゴールデンウィーク中は部活が休みだし。何より、日頃の厳しい練習の疲れが温泉で癒せるのは嬉しい限りかも~」
「それじゃあ、一泊二日で温泉旅行に決定って事でいいな?」
「オッケー、いいよ~」
「私も……それでいい……」
「よし、分かった。じゃあ、旅館の方は俺が良さそうな所を探しておくからな」
「なるべく、美味しい料理が出る所にしてよ」
「私は……温泉が広い所……」
「分かった分かった。なるべく二人の要望に答えられるよう努力するよ」
「お願いね」
「兄さんを……信じてる……」
「はいはい、了解」
食事も終わり、三人は各々の部屋へと戻って行った。
拓也はいつものようにお風呂に入った後、ギャルゲーを満喫してベッドに横になり眠りについた。




