エピソード1
前回のあらすじ
中学時代までヤンキーだった朱音は無事に高校に受かり無事に高校生活を迎えることができると思ったやさき、自分しか金髪がいないことに気づく…
私は無事に受かったと電話で答えるとすぐにお父さんの声が響く。「おぉ…!やったな!朱音!!今日は朱音のためにも会社を休んだんだ。帰ってきたらお祝いをしようじゃないか!」実はうちのお父さんは会社の社長 、つまるところお偉いさんというやつだ。ちなみにもともとはこのあたりを仕切っている組の組長。背中には大きな入れ墨がある。そして何より強い!ガタイがしっかりしている!それでもお父さんは外にはそのことがバレないように隠している。するとスピーカーモードにしているのか今度はお母さんの声が響く。「おぉ!信じていた!流石私の自慢の娘!やっぱり普段の努力が実を結んだのね!帰ったら盛大に乾杯しましょう!あっ…朱音にはもちろんジュースを用意してあげるからね!」ちなみにあたいのお母さんはお父さんと似ているが外ではとある有名企業の社長の秘書とか言うすごくランクの高い人だ。ちなみに裏では同じ世界の人たちから姐御と呼ばれている。お父さんほど入れ墨は無いが肩の所に少しだけ入っている。すると今度はお兄ちゃんの声が聞こえてきた。「流石俺の妹!!お兄ちゃんはすっごく嬉しいよ!今日のケーキは俺が焼いたんだ!あ…今のナシ…ケーキは…あれだ…二人共そんな怖い顔しないで…!!」あたいのお兄ちゃんも似ているのだが表の顔はエリート会社員。まだ20代ではあるが次期部長候補にも上がるくらい印象も人柄もいい。ちなみに裏では自分の倍以上の体格差があっても余裕で勝てるし自分の体に1滴も液体をこぼさないとか言われている。多分周りが言う液体は血とか汗とかのことだろう。お兄ちゃん細身なのに…一体どこにそんな力があるのだろう…。きっとさっき電話で言っていたケーキはあたいへのサプライズで作ってくれていたのだろう。もしこれで落ちていたらどうするつもりだったのだろうか…ちなみにあたいはそんな血筋にいるせいなのか普段学校ではヤンキーとか言われるレベルのやつだが裏ではそんな家族を支えるために頑張っている。まぁあたいがいてもいなくてもほとんど変わらないのだが。「どうする?歩いて帰ってくる?あれなら迎えに行こうか?」そうやってお母さんは聞いてくれる。「今は大丈夫かな。このまま歩いて帰るよ。」あまり家族が来ても目立ってしまうだけだろうし…あたい一人でも十分目立っているというのに…。「そう、分かった、気を付けて帰ってきてね?なんかあったらすぐに迎え行っちゃうから!」そう言うと電話からわいわいと声が響く。「それじゃあ切るからね?」そう言って電話を切る。あたいはゆっくり家に帰った。
「ただいまー」あたいが家に帰り着き扉を閉めるその瞬間ドタドタと音がする。その瞬間お兄ちゃんが飛んできた。ほぼ浮いているくらいのジャンプ力であたいに抱きついてきた。「おかえりー!!心配してずっと待っていたぞー!!」耳元で叫ばれ耳を塞ぎたくなる。お兄ちゃんからはケーキの甘い匂いがした。するとお兄ちゃんは腕を引っ張りながら「早く早く!」とあたいを急かした。あたいは荷物を自分の部屋に置くとそのままリビングへ向かった。そしてリビングの扉を開けた瞬間、突然大きな音がなった。あたいは音にびっくりしているとお父さんとお母さんはパーティー帽子を被ってクラッカーを鳴らし笑いながらあたいを迎えてくれた。あたいもつられて大笑いをした。これがあたいの家族だ。他の誰にもない愛情であたいを包んでくれる。そうしてあたいは今日の合格発表のことを言った。もちろん、周りにはあたいしか金髪がいないことも伝えた。するとお父さんは少し考えたような声で「それじゃ朱音はどうしたい?朱音がこのままでいいのならこれでいいと思うし朱音が変えたいと思うのなら最大限サポートするよ?」私はふと思った事を口に出す。「私…陰キャになりたい」その瞬間、家族が一瞬で静かになる。みんな表情が少し暗くなり言ってはいけないことを言ってしまったのだろうかと不安になる。