最初の配信は毒沼にて
魔王城の一室を借りて、私の実況部屋を作った。(クリムには許可済み)
実況に最低限必要なアイテムは実況に必要なのは、パソコン
・ヘッドホンセット(マイクの付いてるヘッドホン)・モニター・ゲーム機・キャプチャーボード(ゲームの映像や音声を録画するのに必要)・編集用ソフト・録画用ソフト。それは日本で実況していた頃の記憶だけど。
実況内容に寄っては要らないアイテムだろうけど、私は元ゲーム実況|者。
さて、この世界ではゲーム機やパソコンなどインターネット系は存在しない。
どちらかというと、魔法技術や戦闘能力が高い世界のように思う(ドワーフが作ってるカラクリも魔法で動く)
中世の世界線にファンタジーが加わったような。まるで、異世界そのもの。
今回はゲーム実況じゃなく、勇者パーティを生配信する目的がある。
私はスライムのかぶりものを被った。
最初はハトのかぶりものが良かったんだけど、クリムがスライムじゃないと手助けしないと言うものだから。
仕方なくスライムのかぶりものを作って貰ったのよね。この魔王城には器用な魔族がいるからね。
ドワーフに頼むのも良かったんだけど、色々と頼んでしまったから、また頼むのも申し訳なかった。
私は耳に何かを詰める。それは丸く白さがあり透明でもある。
もうひとつ、それとセットな物があるのだが、それは今は人間の街中に散らばっている。
私の魔力に反応すると街中に散らばっているもうひとつのセットの物が起動して、近くの声を拾ってくれる。
異世界版のワイヤレスイヤホンだと私は思っている。(後日、ドワーフ村に取りに行った)
部屋の真ん中の丸テーブルには、ゴスロリ風のドレスに身を包んだ小さな人形と、その横に置かれてある水色のキューブが置かれていた。
私は、テーブルの前に行き、キューブに手を置く。
するとキューブの中が反応したようにキラキラと光り輝く。
私は魔法を発動するのが苦手でも、魔力量はものすごく高いのよね。
目の前の壁一面に巨大なモニターのようなものが現れ、街を映し出す。
ドワーフに依頼したうさぎ型カメラが無事に動いてくれてるようで良かった。
ワイヤレスイヤホンから声を通って、現地に私の声も届く。現地には私の姿が映し出されてるだろうね。
うさぎ型カメラをもうひとつ、場所を変えて違う所から写しているので確認が出来る。
私は映像に向かって話し出した。
「さて、始めましょうか。私の復讐生実況を」
突然現れた私の映像を見た街の人々の反応は想像していた通りだった。
驚いて腰を抜かす者。マイペースにお茶をすすりながらも興味を示している者。
新種の魔物だと疑って武器を構える者。
私の素性をバラすことはしない。だから敢えて自己紹介はしない。
「これから皆様にはとっておきの映像を見てもらいましょう。気になりませんか? 思ったことありませんか? 勇者様のご活躍を目に焼き付けたいと。私はそんな皆様の夢を叶えるために参りました」
微笑むが、そもそも被りもののせいで口元が見えない所か、私の顔さえも見れないだろう。
それでも、不気味さはあるので、人々は混乱している。近くにいる人と話している。
これだけじゃ信じないわよね。だったら見せるまで。
映像を切り替えるにはワイヤレスイヤホンに小さなスイッチがある。それを押す。
プツッという音と共に映像が切り替わった。
そこには勇者パーティがとあるダンジョンの毒沼で足止めされていた。
街の映像を小さくして端の方に寄せた。人々の様子も気になるからね。
きっと街では勇者パーティの映像が大画面となって現れてるだろう。
その証拠に歓声が上がっている。
毒沼には私が仕掛けたトラップが何個もある。
そこに棲まう魔物には理性は持ち合わせていないから、トラップがあることを言えないのが残念だけど。(言った所で理解がされない)




