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第88話 いやいや、それはアウトですから

「ところで結人はこの後って何か予定はある?」


「そろそろ昼ごはんにする予定ですけど、その後は特に決まっていないですね」


 今日は朝から休憩を挟みつつ長い勉強をしたため、夜まではゆっくりしようと思っていた。がむしゃらに何時間も続けて勉強をするよりも息抜きを挟んだ方が効率は良い。


「とりあえず一緒にお昼にしない? 私もまだだからさ」


「そうしましょうか、ちなみに今日は何系の気分ですか?」


「やっぱりカップル限定メニュー系かな」


「今の質問にカップル限定メニュー系って答える人なんて初めて見ましたよ」


 夏乃さんは本当に相変わらずだな。もしこんな事を他の誰かに頼んだら間違いなく勘違いするはずだ。そして告白して振られるまでがセットだろう。


「流石に今のは冗談として、この近くに美味しいラーメンのお店があるからそこへ行かない?」


「良いですね、賛成です」


「オッケー、じゃあ早速行こうか」


 俺達は本屋を出て目的地へと向かい始める。今日は真夏日という事で冷房のよくきいた本屋から一歩外に出ると猛烈に暑かった。こんな中で練習している運動部の人達は本当に大変だろう。

 実際に中学時代に所属していたサッカー部の時は倒れそうになった事が何度かある。そんな事を考えているうちに目的地へと到着したわけだが、俺の想像していた場所とは全然違っていた。


「ここって居酒屋ですよね……?」


「うん、そうだよ」


「俺はてっきりラーメン屋に行くと思ってたんですけど」


「結人にお酒を飲ませてベロベロに酔ったところで持ち帰りしようかなと思ってさ」


「いやいや、それはアウトですから」


 そう言えば以前夏乃さんと一緒に合コンに参加した時にそういう事をやる悪い輩がいるという話を誰かがしていたっけ。

 曰く、新歓コンパで狙った女の子にアルコール度数の高いお酒を飲ませて眠らせて連れて帰る手口らしい。まあ、俺の目の前で堂々と宣言した時点で無意味だが。


「あっ、もしかして本気にしちゃった?」


「してないので安心してください。てか、結局ラーメン屋じゃなくて居酒屋の理由は何なんですか?」


「確かにここは居酒屋なんだけどラーメンがめちゃくちゃ美味しいって評判なんだよね、だからラーメン目的で来てる人も多いんだよ」


「へー、そうなんですね」


 なるほど、そういう理由か。それにしても居酒屋に来るのなんて人生で初めてだからちょっと緊張するな。まさか、高校生で居酒屋デビューするとは思わなかった。高校生で合コンデビューとラブホデビューしている俺がいうのもあれだが。


「結人もお姉ちゃんのおかげで初体験できたし、良かったね」


「だからいちいち違う意味に聞こえるような発言はしないでくださいよ」


「えー、どういう意味か全く分からないから詳しく教えて欲しいな」


「それは分かってる人の反応ですからね」


 そんなやり取りをした後、俺達はラーメンを注文した。ちなみに居酒屋という事でワンドリンク制になっていたため飲み物もそれぞれ注文している。

 それからしばらくして飲み物と一緒にラーメンがテーブルに運ばれてきたわけだが、評判でこれ目当てに来る人がいるのが分かるくらい美味しかった。


「スープがめちゃくちゃ濃厚ですね」


「でしょ、インターネットの口コミでもこの癖になる味がたまらないって書かれてたから」


「病みつきになりそうな味です」


 これはまた食べにきたくなる味だな。そんな事を思っていると対面に座っていた夏乃さんの顔が何故か赤くなっている事に気付く。


「……顔が赤いですけど大丈夫ですか?」


「えっ、そうかな? さっきからふわふわするような気はするけど」


「まさか!?」


 夏乃さんが八割近く飲み干したコーラの入ったグラスを手に取ると、そこからは明らかにアルコールの匂いがしてきた。おいおい、マジかよ。

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