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第85話 はい、結人の彼女の私からでお願いします

 夏乃さんと雑談しながら待っているうちに順番の列はどんどん進み、いよいよ俺達の番がやってきた。占い師の女性はホームページに載っていたプロフィールだと二回りくらい上の年齢だと思うのだが外見はかなり若々しい。


「次はあなた達ね、何を占いましょうか?」


「私と結人の近い将来について占ってください」


「分かったわ、じゃあ彼女のあなたからでいいかしら?」


「はい、結人の()()の私からでお願いします」


 夏乃さんは彼女という部分をめちゃくちゃ強調しながらそう口にした。ちょっと顔がニヤニヤしていたのを俺は見逃さない。彼女ではないと否定しようと思ったが説明するのが面倒だったので辞めておいた。

 そんな事を考えているうちに占い師の女性は机の上に置いてあったタロットカードの山を崩しながら時計回りに混ぜ始める。

 ちなみに列に並んでいた時の雑談で夏乃さんから教えて貰ったのだがタロットカードは七十八枚あるらしい。二十二枚が大アルカナと呼ばれる絵札、五十六枚が小アルカナと呼ばれる数札との事だ。

 タロット占いは初めてと言っていたがその辺りの知識は豊富だった。相変わらずめちゃくちゃ物知りなところは昔と変わっていないようだ。

 そんな事を考えているうちにシャッフルを終えた占い師の女性はタロットカードを再び一つの山に戻し、そして山の一番上にあったタロットカードを引く。するとTHE WORLDと書かれたカードが現れる。


「世界のカード、それも正位置ね。良かったわね、あなたの未来は明るいわ」


「本当ですか?」


 それを聞いた夏乃さんはめちゃくちゃ嬉しそうな表情を浮かべた。それから占い師の女性はタロットカードの解説を始める。

 二十一番世界というタロットカードには二つの意味があり、正位置の場合は心から納得できる結果が訪れることや深い満足感を味わい心から幸福感を得られること意味しているらしい。七十八枚、百五十六通りあるタロットカードの結果の中で一番良いとの事だ。


「じゃあ今度は彼氏のあなたを占うわね」


「はい、お願いします」


 先程と同じようにタロットカードの山を崩してかき混ぜ、再び作った新しい山の一番上のタロットカードを占い師はひっくり返す。

 タロットカードの絵柄を見た瞬間俺は思わず顔をしかめる。そこに書かれていたイラストは上下反対になっていたが悪魔だったのだ。悪魔のイラストのタロットカードの時点でどう考えても良い占い結果とは思えない。


「悪魔のカード、今回は逆位置のようね。あなたの場合は今まで囚われていた過去から解放されるかもしれないわね」


「えっ、そうなんですか?」


 思っていたよりもポジティブな内容を伝えられた俺は思わずそう声をあげた。解説によると十五番の悪魔のカードは正位置の場合は俺が想像していた通り悪い意味があるらしい。

 しかし逆に上下逆さまの逆位置で悪魔のカードを引いた場合は真実への気付きや変化の兆しなどかなりポジティブな意味になるそうだ。ただし、そこまでの道のりには様々な苦労や試練があるため頑張るようにとも伝えられた。


「中々面白かったね」


「そうですね、占いとかは信じないタイプですけど今回のは信じる気になりました」


「それにしても一番良いカードを引くってやっぱり私は持ってる女って事でいいかな?」


「夏乃さんは昔からその辺りは持ってる人間でしょ、人生も順調そのものじゃないですか」


 容姿端麗で日本最難関の私立大学に現役合格するような人生を過ごしている時点で持っていないはずがない。もし凉乃と夏乃さんが双子だったのなら今の俺と兄貴のような関係になった可能性も普通にあり得ると思うくらいにはハイスペックだ。


「結人も悪くない結果で良かったじゃん」


「まあ、それまで道のりは険しいって言われたので怖い部分もありますけどね」


 だが過去からの解放という言葉は俺の心にかなり響いた。夏乃さんのおかげで兄貴に対して感じているコンプレックスなどは前よりも軽減されてはきたが、まだしっかりと俺の中には残っている。

 それを断ち切ってしがらみから解放される事で俺は今までとは一皮剥けた人間になれると思う。近い将来それが解決するのであれば道のりが険しくともしっかりと立ち向かうつもりだ。

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