第45話 もう、すぐにネタばらしなんかしないでよ
もうお気づきの方がいるかもしれませんがタイトル変更をしました
旧『どうやら今どきギャルな幼馴染の姉は何でも完璧にできる双子の兄の劣化版と呼ばれている俺の事を病的に愛しているヤンデレらしい』
新『どうやら俺は今どきギャルな歳上幼馴染から激重感情を向けられているらしい』
なお、内容は何も変わってないのでよろしくお願いします!
「お待たせ」
「皆んなこの前ぶりだね」
東京サマーヒルズの集合場所に到着した俺達は三人にそう声をかけた。すると三人はハイテンションな様子で話しかけてくる。俺ではなく夏乃さんに。
「結城先輩、お久しぶりです」
「待ってましたよ」
「相変わらずお綺麗ですね」
明らかに鼻の下を伸ばした三人はかなりデレデレしており見ているこっちが恥ずかしいくらいだった。何はともあれ合流した俺達はひとまずレストランへと歩き始める。
「泳ぐ前だからあんまりしつこい物は食べたくないよね」
「そうですね、あっさりした物が良さそう」
「……結人と結城さんって前よりも距離とかが近くなってないですか?」
俺と夏乃さんがいつもの感じで話しながら歩いていると健二がそう声をあげた。その言葉を聞いて翔と海斗も共感し始める。
「言われてみれば確かに」
「カップルって言われても全然違和感ないよな」
夏乃さんから告白されて以来かなり意識しているため心の距離は間違いなく近くなったと思う。そんな事を思っていると夏乃さんは嬉しそうな表情になる。
「あっ、やっぱり分かっちゃう? 実は結人から激しくされて色々なところをドロドロにされるような仲になったんだよ」
「えっ!?」
「おい、結人まさか!?」
「どういう事だよ!?」
包み隠さず洗いざらい説明しろと言いたげな顔になった三人から俺は一斉に詰め寄られる。恐らく三人とも同じような内容を想像しているに違いないがそれは誤解だ。
「間違えてお酒を飲んだ俺が記憶がなくなるくらい酔っ払って激しく暴れ回った後盛大に嘔吐したせいで服がドロドロになったっていうただそれだけの話だから」
「もう、すぐにネタばらしなんかしないでよ」
「いやいや、夏乃さんこそ明らかに誤解を招くような言い方はしないでくださいって」
俺の説明を聞いた三人は最初半信半疑な様子だったが夏乃さんの反応を見てすぐに信じてくれた。それから五人でレストランへと向かい仲良く食事をした後、いよいよお待ちかねであるプールへと向かう。
更衣室の前で夏乃さんと別れた俺達は男子更衣室に入る。男子更衣室の中は学校終わりであろう中高生らしき姿が多かった。恐らく皆んな俺達と同じような考えを持っていたのだろう。
「海斗は相変わらず色白だし凄まじく細いよな」
「それを言うなら健二が尋常じゃなくゴツすぎるだけだろ」
水着に着替えていると健二と海斗はそんな会話をしていた。百八十センチ近い身長でかなり筋肉質な体格をしている健二に対して海斗は細めであり身長も百六十五センチほどで小柄なため対照的だ。
「……俺も少し鍛えようかな、流石に健二みたいないかつい体型は目指してないけど」
「確かに健二と比べたら俺も結人もモヤシだもんな」
俺や翔は中背中肉で平均的な高校二年生の体型をしているためゴリマッチョな健二と比べるとどうしても見劣りしてしまう。
「結人と翔がモヤシなら俺なんてもはや爪楊枝かマッチ棒だろ」
「海斗はマジでもっと食って体にしっかり肉を付けた方が良いと思うぞ」
四人でそんなバカな会話をしながら水着に着替え終わった俺達はシャワーを浴びにいく。小学生や中学生の頃のプールの授業前に浴びていたシャワーは冷水だったがここは温水だ。
「プール前のシャワーって水泳の授業の時の冷たいイメージがどうしても残ってるから身構えるよな」
「だな、そう言えば地獄のシャワーとかって呼んでたっけ」
「あれはマジで辛かった」
どうやら三人も俺と同じような事を思っていたらしい。やはり地獄のシャワーは皆んなの記憶に刻まれるほどのトラウマなのだろう。
シャワー室を出た俺達はプールサイドに出て準備運動を始める。ある程度準備運動をしたタイミングで夏乃さんがやってきた。
「じゃーん、どう似合ってる?」
「めちゃくちゃ似合ってるじゃないですか」
「やったー、嬉しいな」
夏乃さんに絶対似合うと思って黒いリボンビキニを選んだ俺だったが、はっきり言ってこれは想像をはるかに上回るレベルだ。
三人に至っては夏乃さんに見惚れ過ぎて言葉を失っている。周りにいた男性客も皆んな夏乃さんの方ばかりを見ていた。
「じゃあ早速遊ぼうか」
「そうですね、まずはプールに入りましょう」
俺と夏乃さんが二人でゆっくりプールに近付こうとしていると健二が口を開く。
「俺と翔、海斗は三人で行動するので結人と結城先輩は二人で楽しんできてください」
「えっ、いいのか?」
「ああ、せっかくのプールなんだしどうせなら二人きりの方が良いだろ」
健二の後ろで翔と海斗も頷いている事を考えると二人も納得しているらしい。俺と夏乃さんに気を遣ってくれているのだろう。
「それならお言葉に甘えさせて貰おうかな」
「俺達は三人でナンパでもしてくるわ、また結人にも戦果を報告するから楽しみにしとけ」
「俺も今日で彼女持ちにランクアップするから」
「とりあえず俺は健二と海斗の観察でもしておこうか」
三人はそう言い残すと俺と夏乃さんの前から足早に去っていった。