2023年冬 大寒やトイペ抱えて帰りたり
行き止まりまた出てゆく春を待つ
手を合わせ祈る少女や女躰神社
冬の川スカイツリー灯る家路かな
冬の川時折夢の浮かび来ぬ
いくたびか別れて辿るあの冬の日
人々の影残し行く五日かな
隙間から賽銭投げる初恵比寿
七福神うち揃いての寝正月
新年も気配り強いる空気かな
自転車並べ金網見てた冬休み
おいしいと訊かれ咳き込む手弁当
冬の旅あっけなく終わるぼっち線
寒流星ないしょの祈りわりとマジ
すれ違い春に巡り会うこの駅で
陽が伸びてポイント切り替え音軽く
彼の名前そっと呼んでみた三学期
雨あがり菜の花の露春近し
大寒や工事中の誘導棒
面接日大寒と聞きパンツ履く
厳寒や昔の人の咳払い
昼飯のハンバーガー日脚伸ぶ
近所よりコロッケいただく春隣り
夜の川みずどり集まり静まれり
大寒に蠟梅とろり香り立つ
大寒やトイペ抱えて帰りたり
電車去り冬の陽照らすホームかな
冬の日の目を見て言えたさようなら
凍蝶の舳先にとまり江戸を出る
あの丘の向うに待つ春の陽へ
分量が多くなりそうなので最初の予定を変えて、2023年分と2022年分をわけることにしました。したがって、ここで完結です。最後まで読んでいただきありがとうございました。