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2023年春 とりどりに雨を染めける桜かな
ワンオペの夜の更けゆく春を待つ
春寒しラーメン食べに傘を差す
梅求め香りとともにさようなら
昔の川こぽこぽ聞こえる春の音
おぼろ月鏡に映るおんな顔
日も暮れて唱歌口ずさむ春の花
近寄れば童話の靴の藤の花
衰えてなお躑躅色の躑躅かな
花冷えに音もなく時朽ちぬ
河畔飛ぶ蝶の眼スチームパンクの工場
春光や水門の影やわらぎぬ
とりどりに雨を染めける桜かな
人生を畳みし後に桜見ゆ
かの人は桜散り急ぐ里の人
春の運河ポンポンポンと花運ぶ
春水を飲んで息継ぐ子羊や
友来たり春雨の色変わりゆく