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2023年夏 夏すずめ時給ほどには働きぬ
陽の下に暗くぞ見ゆる青田風
ふと目覚め何もなき日の空の澄む
カリンバの音色で目覚める野遊びや
梅雨前の行き先不明の電車乗る
梅雨入りしたと見られるあんたみたい
夏すずめ時給ほどには働きぬ
七草のやがて揃いて処暑なるか
風の香のいずれの色の百合なるか
君見送りし改札の蝉の腹
花火果て握られし手をまた見る
永遠の夏に似合いしかすれ声
彼女の家のあじさいの今もなお
夏の田を見渡してまた漕ぎ行く
夏ドレス
スマホなんかで撮らないで
夏至の旅
歌も思い出す
あの場面
枝毛切り雨の散らかる半夏生
雀宮遠慮がちなる夏の焼き鳥
飛び起きて蝶の歯科医に診てもらう
あたし悪くないもんと蝶去りぬ
雨の朝
低く飛ぶ蝶
死期告げぬ