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1. 竜王発見?

戦闘描写は拙いです・・・・ゴメンなさい(泣)

この世界には、知られている限り三つの大陸がある。一つは人間が暮らしている大陸、二つ目は魔物の生息地である大陸、三つ目は人間が足を踏み入れたことのない未知の大陸。


そしてこの日、三つのうち魔物が暮らしている魔大陸全ての魔物を抑圧していた竜王イグザードが世界から消えた。

竜王とは言葉の通り、最強種と言われている竜の長だ。竜王のその圧倒的すぎる力は今まで魔物を抑圧していたが、それがいなくなったことによりコントロールが失われ魔物は暴れるようになり、人間界にも被害が出るようになった。


竜王は大昔に一度姿を現して以来、人々に姿を見せたことがなく、それがさらに竜王という存在を神聖化させた。


魔物というのは凶悪で人をも喰らい、時には国を滅ぼしたとも伝えられている。


三つの大陸は人間が建国するようになるよりも前、それぞれ独立していたという。しかし時が経つにつれ大陸は少しずつ海の上を移動し、魔大陸と人間が暮らしているサンティエルド大陸はくっついてしまった。

それ以降、魔物はサンティエルドへと流れるようになり、人々に莫大な被害をもたらした。

人々はそんな魔物を日々常々警戒し、穏やかとは程遠い暮らしをしていた。しかしある時、突如として魔物の被害がなくなったのだ。


ちょうど同じ時期、巨大な黒い翼をはためかせ空を旋回する一匹の竜が姿を現した。

以降その姿を見た者はいないが人々は皆、かの竜が魔物から自分達を守ってくれた、これからも守ってくれるんだと思った。


そのため、長きに渡って人々の守護竜のような存在だった竜王イグザードがいなくなったというのは、重大なことだった。



時同じくして、一人の男児がとある伯爵家に生まれた。

これは偶然なのか、はたまた必然なのか・・・ーーーー





(竜王失踪の真実)


「みんな! 僕はちょいと冒険をしてくるからあとはよろしく頼むよ! じゃっ!」

「お待ちくださいいぃぃぃーー!!! コンラッド様あぁぁぁ!!!」


空を駆け抜ける背中に黒い翼を生やした青年を、同じく背中に翼を生やした複数の男たちが追いかける。

そのうちの一人が喉が潰れるかと思うほどの声で叫ぶが、さらに加速した青年に大きく距離を置かれてしまう。


「言ったでしょ! 僕はこれから冒険しに行くんだから邪魔しないでよ! じゃあね! またいつか会おう!」


そう言うと青年はさらに加速し、男たちは必死に追いかけるがついに姿が見えなくなってしまった


「あんのクソ竜がッ!! 人に丸投げしやがってえぇぇぇ!! 俺たちをなんだと思ってやがるッ!」

「ちょうどいい仕事処理機」

「・・・・・・・」


男はその言葉に真顔になる。それも一瞬でまたもや般若のお面のような顔になり、ギリギリと歯軋りをする。


よほどあの青年のことが腹に据えかねているのだろう。


しかし、それもすぐに焦った様子になった。


「なあ、あの強力な魔力の気配が感じられないんだが・・・・」


竜は基本、魔力の気配を感じることができる。


「え? 言われてみればふと消えたような・・・・」

「は? あいつ消えたってことか? どう言うことだ!?」

「死んだんじゃないということは消えたってことになるな」


人間も竜も、死んだら魔力の残滓がしばらく残る。そうなると忽然と一瞬でその気配がなくなったのは、消えた以外に理由がなくなる。


しかし、突然またあの強力な魔力の気配が感じられた。


「あぁ? どう言うことなんだよ。また気配が戻ってきたぞ・・・一体何やってんだよクソ竜がぁぁぁ!!」


失踪した後も、振り回される男たちだった。


その頃のコンラッドはというと。


(転生魔術、成功だ!)


と心の中でガッツポーズを掲げていた。





あれから15年の月日ががあっという間に流れたが、魔物の被害は当初予想されていたよりもほとんどなかった。


それというのも。


(まあ、僕がほとんど倒しちゃってるからね。いやぁ竜王というのは数千年もやってると飽きてくるんだよなぁ。退屈しのぎに試しに転生魔術を使ったら、ちゃっかり成功しちゃったんだよね。まあ人間の生活は楽しいからいいけど)


彼の名前はコンラッド・リグマッキン。燃えるような赤髪に金色の瞳の麗しきリグマッキン伯爵令息だ。


その実、15年前に突如失踪したとされる竜王イグザードの転生体である。

イグザードというのは人々が勝手につけた名前であって、竜王の時もコンラッドというのが本当の名前だ。

何の因果か、転生してもコンラッドと名付けられたようである。


「おい、竜王が見つかったらしいぞ!!」

「本当か!?」

「あぁ。なんでも公爵家の坊ちゃんが発見したらしい」


また魔物でも倒しに行くかと魔物がよく出る森に到着したと思ったら、なにやら人集りができている。


「・・・・竜王ってこの小さい鳥が?」

「そうだ。竜王様に違いない! この黒い翼と体が証拠だ!」


(え? なに言ってんの。黒い翼と体の鳥なんて僕でも聞いたことないよ。しかも竜王は僕だし、人間に転生してもういないよ。ちょっと見せてもらうか)


コンラッドが人をかき分けて覗き込むと、そこには本当に黒い翼と黒い体の鳥がいた。

コンラッドはそれを一目見て、吹き出した。


「ブフゥッ」

「な、なんだお前!! なに笑っているんだ!?」


公爵家の坊ちゃんがが吹き出して笑っているコンラッドを見て怒り出したが、コンラッドはそれどころではなかった。


(え? えぇ? あはっ、あっはははは!! なにこれ? ふ、ふふ、な、なんでカラザードが、ここにいるの? しかも魔術で小さく鳥に変えられてッ、この黒いのはどうみてもペンキじゃんッ!! ブフッ)


カラザードというのは竜王だった頃のコンラッドの忠臣の一人だ。無駄に優秀な彼はいつもコンラッドに書類仕事を丸投げされ、怒っていた。コンラッドのことをクソ竜などと叫んでいたのもこのカラザードだ。

コンラッドも優秀ではあるのだが、生来の面倒くさがりで自由奔放な性格がカラザードに重い負担をかけていた。


「ねぇ、これ、ふ、ただの鳥だよ? 第一偉大なる竜王がこんなに小さい姿で発見されるのもありえないと思うけど」

「た、確かにそうかもな・・・・」


コンラッドの言葉に納得しかけたその時、ドドドドッと大きな足音ががこっちに向かってやってきた。


皆が何事だと振り向くと、獰猛な赤い目をこちらに向けるグリズリーベアがいた。


(えー面倒くさい。なんでこのタイミングでやってくるの?)


他の人が恐怖で震えて動けない時にコンラッドはそんなことを思っていた。さすが元竜王、肝の据わり方が尋常じゃない。


さっさと始末しようとコンラッドは魔術を発動する。無詠唱で。基本、魔術の発動には詠唱が必要だが、あいにくと今は人間とはいえ元竜王。魔力の量も魔力制御の技量もコンラッドは普通ではない。無詠唱魔術も安易と遂げてしまう。


しかしコンラッドがグリズリーベアに向けて魔術を放とうとした時、勇敢にも剣を構え立ち向かおうとする少年がいた。

竜王を発見したと言っていたあの公爵家の少年だ。


周りに共闘できるような大人がいない今、少年が一人で凶暴なグリズリーベアとやりあうのは無謀だ。


「か、かかってこい・・・!! この俺がお前を倒す・・・・!」


強気にそう言うが、声も震えていて剣を持つ手も震えている。


「あーあー、下がっててよ。あんたじゃ歯が立たないよ? 死にたいなら良いけど」


随分と厳しい言い方をするコンラッドだが、魔物は本当に危険なのだ。力を持たないただの人間は食い殺されるしかない。

見た感じ、震えて戦い慣れているように見えない彼では、一瞬で食い殺されて終わりだ。


「ッ」


厳しい物言いに歯を食いしばる少年。


「死にたいの? 死にたくないの? 僕なら一瞬で殺せるんだけど」

「・・・・っ分かった」


追い討ちをかけるコンラッドに少年は悔しそうにしながらも引き下がった。自分にその力がないのが悔しいのだろう。


少年が引き下がったのを見てコンラッドは、氷の槍を出現させる。


無詠唱で氷の槍を出現させたコンラッドに周りがざわめく。

コンラッドはその槍をグリズリーベアの目に向かって突き刺す。


するとグリズリーベアは立ち上がり、刺された目を掻きむしるように手をを振り回し始めた。


「グガァッ!!! ガァァァッ!!!」


刺されたことによってさらに興奮したグリズリーベアは、血が流れ続ける目を血走らせ鋭い鉤爪をこちらに向かって繰り出してきた。

が、それが当たることはなかった。次にコンラッドが鋭い氷の刃をグリズリーベアの喉に突き刺したからだ。


「じゃあねー熊さん」


急所を攻撃され絶命し力を失った巨体がズシンッと音を立てて地面に倒れた。

その時間、約1分弱。


一人で倒したにしては短すぎる時間だった。普通の人はここまで魔力を扱えないため、剣や槍、大鎌などの武器で対応するのがほとんどだ。


「いっちょあがり!」


一人で軽いかけ声をあげるコンラッド。完全に浮いている。


「うわぁ・・・・」


しかしキラキラした目でコンラッドを見上げる人物が一人。またもやあの勇敢な公爵家の少年である。


「すげぇ、ほとんど一瞬で倒したぞ! あの坊主なにもんだぁ?」

「すごい・・・・」

「かっこよかったよ、兄ちゃん!」


それまで静かだった皆から次々とそう声が上がった。


コンラッドはみんなに手を振ってそんなことないよ、と謙虚に言う。ということはなく、思い切り無視し竜王だなんだと騒がれていた黒い鳥に向かって、


「久しぶりー、カラザード! なんでそんなちっこくなってんの? ペンキまで塗られちゃって・・・ふ、ふは、あっはは! もう我慢できないッ・・・・!!」


ゴオオォォォッ!!


「うわっ、ちょ、ビックリするじゃん!」


我慢の限界でついに思いっきり笑い始めたコンラッドに向かってカラザードが炎を向けるが、魔力を纏った手で払われてしまう。


「いい加減元のすがたに戻ったら? 戻れるんでしょ」


コンラッドがそう言うと、小さな鳥の姿から人間へと変わった。

しかし、その姿を見たコンラッドはまたも吹き出してしまう。


「ぶはっ、あっははははっ!! ひぃッ面白すぎるッ! 全身真っ黒・・・ッ!! ぶふッ、ふふふッ」

「〜〜〜ッ笑わないでくださいッ!! 一体誰のせいだと思ってるんですっ!」


真っ黒な唇から発せられる声。


「え〜僕のせいなの? ふ、ふはッ・・・・・はぁ〜笑った笑った。で、なんでカラザードはここにいるの?」

グリズリーベアとの戦闘は、とある空手おじさんが熊に遭遇したときに指で目潰しをして撃退した、という有名(?)な話を取り入れました。


目潰しの魔法Ver.です(*^^*)


熊の急所とか調べたので、お陰でほんのちょっとだけ熊に詳しくなりました(^_^*)

(これ、熊に詳しくなったって言えますかね・・・?)

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