始まりの瞬間
初めまして。
衝動的に書き始めてしまったものです。
以前まで書いていたものがどうしようもなくなってしまったので、新しく始めてみました。
亀投稿ですがどうぞよろしくお願いいたします。
私たちの住む世界とは違う場所。
広く、それでいて狭い箱庭の中。
その中のとある国の中、小さな農村のごく普通の家庭。
そこに今、一つの生命が新たに姿を現そうとしていた。
「ほら、生まれたよ!男の子みたいだねぇ。ほれ、お前さんの子どもさね」
「この子が……私たちの子供……」
「ぼーっとしてないで早く抱いてやりな。」
「は、はい。」
初めての出産を終え、息も絶え絶えな中、自分の子供が生まれたという状況に呆然としていた。
産婆の言葉に我に返り、恐る恐る子供を抱きあげ、その顔を見る。
「あぁ……本当に私の子なんだ……」
「この子の名前は決まってるのかい?」
産婆は一仕事を終え、用具の片付けをしながら問いかける。
「はい。もう決めてます。この子は、この子の名前は……」
「ネディス。ネディスという名前にしようと思います。」
「ほう、ネディスねぇ。創世の神ネフティシア様にあやかったのかい?」
「えぇ。この子に神様の祝福がありますようにと、そう考えて名付けました。」
そういうと母親は、子供を抱いたまま目を閉じ、手を合わせ、こう言葉を続けた。
「あぁ、神よ。偉大なる創世の神ネフティシアよ。この子との出会いに感謝を。そして、この子の生命に祝福を。」
まるで実在する存在に対して熱心に祈るかの如く、真摯に祈った。
ここはネフティシア。
神と人とが共存する世界。
かつて存在していた神代の如き世界。
人と神とが織りなす物語が、今始まろうとしている。