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鏡の中のメリーさん

作者: 紫村 咲



 え。なに君、怖い話が聞きたいの?……新歓中の今?もっと楽しい話しない?

 おぉ……今そういう気分なの?うーん強烈なの一個知ってるけど。知ってるってか実話なんだけどね。


 まぁそんなに聞きたいなら、じゃあ話すよ。



 俺の高校は玄関……ほら、下駄箱とかがいっぱいある所あるだろ。そこに大きな鏡があったんだ。3人分の全身が余裕で映るぐらいの大きさでさ。俺は朝、鏡のそばを通る時は寝癖無いかなーとかチラ見したりしてたんだけど。

 でもその鏡。中から女の子の泣き声が聴こえるとか、日没後に人影が鏡の中から出てったとか、逆に人影が中に入っていったとか。そんな気味の悪い噂が絶えなくてね。

 いつの間にか、鏡の中には女の子の幽霊が棲んでて、夜だけ外に出て校舎を徘徊してる、みたいな怪談話が出来てたなー。ありがちだけど。


 確か高2の春休みだったかな?

 補修工事をするとかで、その鏡を壁から外すって話聞いてさ。友達とちょっと部活サボって見に行ったんだよ。

 玄関行ったらまさに鏡外すところでさ。先生とか俺たちみたいな野次馬も何人か居てね。鏡外した壁にデカイ穴でもあったらどうする?とか言いながら工事の人が作業するの見てたの。

 で、いよいよ外れたんだけど。まぁ綺麗な壁だったよ。壁に鏡の跡がくっきり残ってるぐらいでさ。こんなもんかって笑ってたんだけど、友達が急にヒィって小さな悲鳴あげて。なんだと思ってソイツが指差す先を見たんだよ。

 そしたら鏡の裏に……なんて言うかな?それっぽい高さって言ったらいいかな。


 そこにさ。引っ掻きキズ、めちゃくちゃ付いてたんだよね。



 と、まぁそんなガチの実話があってさ。腰抜かしたヤツとかも出たし、先生は箝口令出したりして、その場は阿鼻叫喚って感じになったなぁ。

 鏡とかはお祓いしたらしいけど、その辺の詳細は知らないや。


 ……しかし何かは分からないけど。閉じ込められてた存在が居たとして、思うように外に出られなかったんだとしたら。ちょっと可哀想だよなぁ。お祓いでソイツがちゃんと成仏とかしてたら良いんだけどね。


 ……はい!俺の怖い話はもうお終い!楽しい事しよう!

 なんたってほら、素晴らしき自由に満ちた大学生活が始まるんだよ?とりあえず、これからの楽しい大学生活に乾杯でもしよーぜ!中身ジュースだけどな!


 かんぱーい!


 あ、そういや乾杯までしたのに君の名前まだ聞いてなかったな。名前なんて言うの?


 へぇ。君の名前、メリーって言うんだ。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 鏡の裏側の引っ掻き傷は、何とも不気味ですね。 普通なら出来ない箇所に痕跡が残っているので、超自然的な存在の関与を想像してしまいます。 [一言] こんばんは、大浜 英彰と申します。 なろうラ…
[良い点] まるで自分が話してもらってるかのような自然な話し方で流れるように説得力ある怖い話が聞けて楽しかったですし、何より名前ーーー!!!と、取り乱しました! タイトルも、冒頭の積極性も、最後まで読…
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