島崎くんの学園生活物語 第1話 入学式に出会いを求めるのは間違っているだろうか その3
プロローグとこちらの投稿が違っているので、よろしければ読んで欲しいです…;;;;
URL: https://ncode.syosetu.com/n2113he/
「ただいま」
家に帰りつくと玄関を開けた瞬間に彩乃がお迎えをしてくれた。
「お兄ちゃんおかえりなさい!入学式間に合いった…?」
彩乃が上目遣いに聞いてくる。
「ああ、色々あって友達のお父さんに送ってもらえてなんとかまにあったよ」
「ならよかったー!でも、ごめんね?彩乃がもっと早くお兄ちゃんのことを起こせてたら遅刻しそうになることもなかったのに…」
「いや寝坊した僕が悪いから気にしなくていいよ。それはそうといい匂いが漂ってるんだけど…」
恐らく僕が遅刻したと思って励ますために僕の好きなカレーを作って待っていてくれたのだろう。我が妹ながらよくできた妹だ。
「えへへー、お兄ちゃんを励まそうと思ってカレー作ってて待ってたの!早く食べよ!」
励まそうとしてくれてりとかわざわざカレー作ってくれてたりとかほんとに僕の妹には勿体ない。天使みたいだ。
「うん。入学式出て帰ってきただけなのになんだかお腹も減っちゃたんだよな。手洗ってくるから少し待っててくれ」
「あ、まって!」
彩乃が僕の袖を掴んで言ってくる。
「カレーの汁が制服に付いちゃったら大変だし先に脱いでハンガーにかけて着替えてから食べようよ」
なんだかお母さんみたいだ。
「彩乃はそういうところしっかりしてるよな。いつも助かるよ」
僕も高校生になったんだしいつも妹からなにか注意されてるようじゃダメだな。もっとしっかりしないと。というか妹の方がしっかりしてるってかなり由々しき事態じゃないか?
彩乃に言われた通りハンガーに制服をかけてからリビングに向かう。
リビングに向かうと玄関の時よりもより強く嗅覚を刺激し、口から涎が出るほどのカレーの匂いが僕の鼻に届いた。
机の上には既にカレーライスが並べられていてカレーを作った彩乃ももう待ちきれないとばかりに目を輝かせていた。
「やっと降りてきたー!我ながらかなり上手くできたみたいで…」
「ごめんごめん。」
彩乃をかなり待たせてしまっていたようだ。申し訳ない。
「それじゃあ」
「「いただきます!」」
改めて見てみるとほんとに美味しそうだ。彩乃も僕も両親に料理を教えて貰っていたことから平均以上に料理をすることが出来るし、僕も彩乃に料理を教えていたが既に腕が抜かされているかもしれない。
味は見た目以上に美味しくてつい黙ってしまった。
「あれ…?口に合わなかった?」
彩乃が心配そうに見つめてくる
「いや、うますぎて感動してた」
正直に思ったことを言うと彩乃は耳まで赤くして照れていた。
「ほんと!いいお嫁さんになれるかなー」
「これだけ美味しく作れるなら彩乃のお婿さんは幸せだろうな」
こんなに可愛い妹が僕の元から離れていくと考えると少し辛いが家事もできるし実際いいお嫁さんになるだろう。
「彩乃はお兄ちゃんのお嫁さんになりたいんだけどね…」
彩乃がなにか呟いたようだが…独り言かもしれないし深追いはやめておこう。
適当に時間を潰しお風呂と夜ご飯をすませ、自己紹介の文をある程度考え、何度か読み直してから僕は今度こそ遅刻しないように眠りついた。
――――
「んー…お兄ちゃんなんであんなに反応悪いのかなー…」
自分ではかなりアプローチしている気がするのに兄が思っているような反応を見せないことに彩乃は少し腹を立てていた。
「小さい頃に結婚するって約束したからそのために家事も料理も練習してるし頑張ってるのに…まさか忘れちゃってるとか…!?ないよね…?」
「カレー…美味しかったみたいだしいいお嫁さんになるって言ってたし…もっと頑張らないと…!彩乃もそろそろ学校始まるし、早起きしてからお弁当作らないとなー」
――――
「まさか島崎くんも寝坊するなんて…仲良いほど同じ行動するって言うし…結構仲良くなれたのかな…?」
まなみは自室で今日のことを振り返っていた。
「しかしほんとに島崎くんに友達ができるなんて…友達が出来なくて落ち込んでる島崎くんを励ましながら一緒に帰るはずだったのに…!」
そう、まなみは人に話しかけることが出来ずに友達ができず落ち込んでる竜介のことを励ましながら一緒に帰るつもりでいたのだ。
「まぁ、いいや!朝からドライブデートみたいなことできたし、お父さんが車に乗せたってことは親公認ってやつだよね!?明日はどんなこと話そうかなー!」
まなみはそう言いながら布団に飛び込んだ。
「…中学校の頃のあれ忘れてるのかな…でもあの時みたいにならないためにもっと積極的にならないとだよね…」
「明日も一緒に学校行けるといいな…」