表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

ショートコント「探し物」

作者: 水沢ながる
掲載日:2021/06/15

「んー、ないなあ。この辺にあると思うんだけどなあ」

「何してんだ、ヒロシ。探し物か?」

「ああ、マサルか。いや、この辺に俺のスマホを忘れてたと思うんだけど、見つからないんだ」

「そうか。だったら俺も探してやるよ」

「え〜? 整理整頓出来なくて、しょっちゅう物をなくして探しまくってるマサルが〜? しかも大抵自分じゃ見つけられなくて、俺らが探してやる羽目になるマサルが〜?」

「俺はもう昔の俺じゃない。実はな、俺、スーパーパワーを授かったんだ」

「スーパーパワー?」

「そう。例えば、ここにあるコーヒーの空き缶にこう手をかざすとだな」

「うぉっ!? 手に空き缶が吸い付いた!」

「磁力を発生させられるんだ」

「すげー!」

「これで磁気カードを三枚ダメにした」

「磁力出しっぱなし!? 損害出てるぞ!」

「他にもな、電球と蛍光灯とLEDを持つだけで点けられる」

「全部光る原理違う気がするけど……。体帯電してないか? さわったらビリッとか行かない?」

「それは大丈夫だ。多分」

「その『多分』が不安なんだけど!」

「手から糸を出してビルの間をビュンビュン飛び回ったりも出来る」

「アメコミ界隈から怒られそうだぞ。それより、そんなパワーどうやって手に入れたんだよ?」

「感染症のワクチンを注射したら、こうなったんだ」

「それ本当にワクチン注射か? なんか違うもん注射されてない? どこで注射したんだよ」

「近所のマッドサイエンティストを自称するおっさんとこ」

「それ絶対違う注射だ! 大体なんで、そんな怪しい所でワクチン注射してもらってんだよ!?」

「いや、早くワクチン打っときたくて。タダでやってくれるって言うから」

「間違いなく実験台にされてるぞそれ! そんなわけわからん注射したのに、よく平気でいられるな」

「まあ、やっちゃったものはしょうがないし」

「呑気だなおまえ。まあいいや、探してくれるなら。でも、その力でどうやってスマホ探すんだよ?」

「俺の能力はこれだけじゃない。実は俺、脳内で携帯に電話をかけられるんだ。もちろんタダだ」

「携帯会社の商売あがったりだな」

「しかも5G対応だ」

「最先端!」

「脳内でソシャゲもやり放題!」

「おおー」

「調子に乗って課金しすぎたけど」

「おまえそのうち身を滅ぼすぞ……」

「まあそれはそれとして、おまえのスマホ鳴らすぞ」

「おう。……って、なんでおまえ、自分のスマホを出してるんだよ?」

「いや、おまえの携帯番号忘れたから」

「……それで直接電話かけた方がよくね?」

「まあ、いいじゃんよ。……ぬんっ!」

 〜〜♪〜〜♪〜〜

「あっ、鳴ってる。この辺りだ」

「お、これじゃね?」

「ああ、これだ、俺のスマホ! ありがとうなマサル!」

「良かった良かった。じゃ、俺は行くわ」

「え? どこ行くんだよマサル」

「ちょっとな、旅に出ようかと思ってるんだ」

「旅!? またなんで?」

「俺にも探さなきゃならないものがあるんだよ」

「探し物か? 水臭いな、せっかくスマホを探してくれたんだ。俺も探してやるよ」

「いや、これは俺が探さないといけないものなんだ」

「一体何を探してるんだ?」

「実はな、この能力を得たのはいいんだが、どうやって活用すればいいのか全然わからなくてな」

「まあ、それぞれ使い道が限られそうな能力だからな」

「考えてるうちに混乱して、頭の中がぐちゃぐちゃになって。だから旅に出ようと思ったんだ」

「え、それって……」

「そう、『自分探しの旅』にさ」


 ヒロシは思った。結局、今回もマサルには見つけられなくて、俺らが探してやる羽目になりそうだと。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ