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クリスチャンになってみた  作者: 甘粕 真古都
6/10

転勤

 私が教会に入って1ヶ月ほどしたころ、W長老が転勤することになった。

 宣教師は奉仕をするために自分の家から離れて、また大学も休学しているのだが、期間が決められていて、男性は2年間奉仕をする。

 奉仕をする場所も、日本だと北海道とか、東北とか、エリア分けされており、そのエリア内で○○支部から○○ワードへ移動することがよくある。

 W長老も、私がいる支部から別の支部へ移ってしまうのだ。


 転勤するときにW長老から電話が来た。

「もしもし、まこと姉妹。私は転勤することになりました」

「ありがとうございました。W長老のことは忘れません」

「私もです」

「…………」

「…………」

 途切れる会話。

 私もW長老も話すのが得意ではない。W長老とふたりで話すのはあまりなかった。

 いつもはF長老が2人分話すので、気にならないのである。

「ごめんなさい。私はF長老のように話せない」W長老が言った。

「大丈夫です。それがW長老のいいところです」


 こうしてW長老は去った。

 宣教師が転勤すると、新しい宣教師がやってくる。

 新しい宣教師はS長老と言って、やはりアメリカ人だった。

 S長老はノリのいい人だった。また、戒め(教会のルール)に厳しくて、日曜日は安息日と言って仕事を休んで教会に行ったり奉仕しましょうとなっているのだが、私はまだ日曜日にバイトをしていたので、休んでください、と言われたりした。

 そして、さらに2か月後F長老も転勤するのである。


 F長老の転勤は突然だった。

 本来であれば、宣教師の転勤は転勤日と呼ばれる決まった日に行われるのだが、F長老はその日とは別に緊急に転勤になった。

 転勤する前の夜、F長老から電話が来た。


「すみません、突然。私実は転勤することになりました」

「えっ?」

「なのでみなさんにこうして電話してるんですけど……本当にありがとうございました」

「私の方こそ……ありがとうございました」

「手紙書きますよ」

「そんなことできるんですか?」

「できますよ。時間はかかるけど。まこと姉妹も書いていいですよ」

「えっ、じゃあ書きます」

「また会いましょうね」


 こうして電話は切れた。

 私は少し泣いた。

 少し強引なところもあったけれど、F長老でなければ私は教会に入らなかったであろう。

 また、初めて会ったときから今まで週1回はレッスンで会って、日曜日も会って、バプテスマを受ける前は毎日のように電話で話して……。

 そんな人がいなくなったのだから、喪失感があった。


 そして、F長老がいなくなったことで毎週あったレッスンはなくなった。

 それでもしばらくみなこさんとえみさんが月に一回レッスンをしてくれたが、だんだんみなこさんが教会に来なくなったことで、それもなくなったのである。

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