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クリスチャンになってみた  作者: 甘粕 真古都
3/10

初めての日曜日

 初めてのレッスンが終わったあと、F長老が「日曜日の聖餐会に参加しませんか?」と言った。

「日曜日は仕事なので……」私は言った。

「聖餐を取るだけでいいので、10時半くらいまで教会にいてそれから仕事に行っても大丈夫です。シフトを調整できませんか?」

 ……相変わらず押しが強い。

 しかし私のシフトで11時から勤務というのがある。そして、教会からバイト先までは歩いて行けるくらい近い。10時半でこの教会を出ても間に合う。

「それでもいいなら……」

 私は承諾した。


 そして次の日曜日、教会へ行った。

 礼拝行事は午前10時から始まる。日曜日のスケジュールは大まかに10時から11時までが聖餐会、11時から12時まで日曜学校、12時から13時までが神権会(男性の会)と扶助協会(女性の会)となっていた。(場所によっては違う場合もある)


 私は10分前くらいに教会に到着した。玄関先には宣教師たちや知らない男性が立っていて、私が通ると挨拶と握手をした。


 礼拝堂に入ると、先日とは変わってパイプ椅子がたくさん並べられていた。並べ方も円形ではなく、教室のようにみんな前を向くように並べられていた。一番前には高い机があって、そこにマイクがついていた。高い机の後ろにもこちら向きに一列の椅子が並べられており、何人かの人が座っていた。

 そして前のピアノでこの間のレッスンで一緒だったS姉妹が讃美歌を弾いていた。


「どこに座る?」

 私と同じ年くらいの女性が話しかける。しかし、私とは全然違うタイプで、髪は金に近い茶色でロングヘア、性格も明るそうな女性だった。

 私とその女性(みなこさん(仮名))は前から3列目の端に座った。

 時間になるとF長老たちも玄関から入ってきて、私の隣りに座った。


 そうして聖餐会が始まった。一番前に横一列に最初に「支部会長」と呼ばれる男の人がマイクのところに出て、「おはようございます」と言った。

 この教会には神父や牧師といった、教会を管理することを職業としている人がいない。支部会長が教会の支部の代表をしているのだが、この人は別に職業を持っている。つまり、ボランティアで教会を管理しているのだ。


 支部会長は続けて言った。

「まず始めに訪問者の紹介をします。甘粕まことさん」

 名前を呼ばれると思っていなかったため、驚いた。さらに、みんながこちらを見た。

 緊張したが、頭を下げる。

 それから讃美歌を歌い、お祈りをした。お祈りをする人は椅子から立って前のマイクに行きお祈りをするシステムのようだった。

 お祈りが終わると次はまた讃美歌。この聖餐の讃美歌を歌っている間、前にあるマイクがある机とは別の机で男の人ふたりがパンをちぎったりしていた。

 聖餐の讃美歌が終わると、パンをちぎっていた男性が「永遠の父なる神よ」と聖餐の言葉を言い、最後に「アーメン」と言うとみんなも「アーメン」と言った。

 すると、男性たちが立ち上がり、白いトレイに入ったパンを配り始めた。

 私の列にもパンの入ったトレイが来た。みなこさんはパンを口にして熱心にお祈りしている。


「パンと水は取っても取らなくてもどちらでもいいですよ。まことさんはまだバプテスマを受けていないので」

 F長老がそう言ったので、その日私は取らなかった。


 また聖餐の言葉が始まり、今度は水が配られた。水は小さな使い捨てのカップに入れられていた。それがちょうどいい大きさの穴が空いたトレイに並んで入っていた。


 聖餐が終わると会員の話が始まるようだが、私は席を立った。バイトに行かなくては。

 玄関先まで宣教師たちが見送りに来てくれた。


「バイト頑張ってください」F長老が言った。「また、次のレッスンで会いましょう」

 こうして、私はバイトに行った。

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