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クリスチャンになってみた  作者: 甘粕 真古都
1/10

始まり

 みなさんはクリスチャンと聞くとどのようなイメージを持つだろうか。私の場合「なんだかカッコいい」イメージであり、子どもの頃からお祈りをしたり、手で十字を切ってみたりしていたものだ。

 そんな私が24才の冬、誘われるままにクリスチャンになってみたのである。


 キリスト教にもいろいろな宗派があるが、私が入会したのは外国人二人組が自転車に乗って勧誘するのでお馴染みのところである。

 入会するきっかけも、その宣教師が家を訪ねてきたところから始まる。あれは24才の夏のことだった。テレビを見ていると、私の家の呼鈴が鳴った。

 ドアを開けると、外国人でスーツ姿の若い男の子が立っていた。後ろにも、同じような人がいた。

「私たちは宣教師です。あなたは家族についてどう思いますか?」彼は言った。

 宣教師だ、と私は思った。実は、私は子どもの頃宣教師と遊んだことがある。そして、たびたび街で宣教師を見かけ、女性の宣教師から「英会話に来ませんか?」と声をかけられたこともある。時間があったら話を聞いてみたいと思っていたので、相手をすることにした。

「大切だと思います」

「そうですね」すると、彼はパンフレットを出した。「ここには家族について大切なことが書いてます。読んでください」

 私はそれを受け取った。彼らはあっさりと帰って行った。


 家に入り、パンフレットを開いてみた。

 A4サイズが三つ折りになっていて、全体的に黄色だった。

 そこに書いてあったのは、人は神の形に創造されているとか、アダムとエバ(イヴ?)とかいかにも宗教らしい文字と、家族について書かれていた。


「夫婦は,互いに愛と関心を示し合うとともに,子供たちに対しても愛と関心を示すという厳粛な責任を負っています。」


「父親は愛と義をもって自分の家族を管理しなければなりません。また,生活必需品を提供し,家族を守るという責任を負っています。」


 そんな文章を読んだとき、素直にいいな、と感じた。

 その時の私の家庭は、父親は働いておらず、両親の関係は冷え切ったものだったから。

 それでもその時の私は、教会に入るつもりはなかった。日曜日はバイトだったし。


 我が家にまた宣教師がやってきたのはおよそ3ヶ月後、10月の、またしても夜だった。

 また呼鈴がなって私は玄関のドアを開けた。スーツ姿の若い男の子2人組が立っていた。

「家族についてどう思いますか?」前に立っていた宣教師が言った。

「大切だと思います」

「ですよね!」なかなかフレンドリーな人のようだ。

 私は、後ろに立っていた宣教師が金髪で、一目で外国人だと解る見た目だったので、話している彼も外国人かと思い「日本語上手だな」と思った。しかし東洋人なので韓国あたりから来たのかな、と思ったがなんと日本人だった。

 お互いに自己紹介をした。彼は島根県から来たそうだ。(私が住んでいるのは北陸地方)

「教会とか、興味ありますか?」

 なんとも押しの強い人だった。前に来た宣教師(後ろにいる金髪の人)とは全く違う。

「興味はあるけど…時間がなくて」私は言った。

「そうですか。休みとかないですか?」

「まだシフトが出てなくて、わからないんです」

「わかりました。また来ます」

 彼らは去っていった。

 私はまた3ヶ月後くらいに来るのかな、と呑気に考えていたが、驚いたことに彼らは一週間後に来たのである。

 しかも「まことさんいますか」と名指しで。


 母から「何か来てるよ」と言われ、玄関に出た。一週間前に来た、宣教師だ。

「シフト出ましたか?」日本人宣教師の彼ーーF長老(男性の宣教師は名字のあとに長老を付けて呼ばれる)は言った。

「はい。11月13日が休みでした」

「あ、その日は予定があるんですよね。他の日はどうですか?」

「シフトがそこまでしか出てなくて……」シフトが一週間ごとにしか出ないバイト先だった。「次のシフト出たら連絡しますか?」

「うーん……大丈夫です。13日にお話ししましょう。場所は家がいいですか?」

 母が警戒した目でこっちを見ている。「……家じゃないところがいいです」

「じゃあ、近くに教会があるのでそこでお話ししましょう」

 こうして私は教会に足を踏み入れることになったのである。

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