表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/87

05 高級列車のプラチナチケット


「そこのお嬢さん、もし旅に出られるのなら、このジル・ハルトを雇ってみませんか? 一見、優男に見えるかも知れませんが、これでもSランクガンナーです」


 幻獣を引き取るために、ギルドの前で一定時間過ごしていたのがいけなかったのか。フリーのガンナーから、声を掛けられてしまうティアラ。おそらく、ティアラとギルド従業員の会話を聞いていたのだろう。


(どうしよう。幻獣の引き取り手続きを行なっている間は、ここで待っていなきゃいけないのに)


 端正な顔立ち、黒髪の鋭い瞳、そして用心棒にはとても見えないスリムな体型。いわゆる容姿端麗なこの男の本当の目的は何だろうか、とティアラは勘ぐる。


 魔力が切れているとはいえ、聖女育成機関で簡単な護身術の基礎くらいは習っている。普通の旅であれば、用心棒は要らないのだが。


「あいにくだけど、私。本当にごく普通の何気ない旅に出るだけなの。モンスターとのバトルが起きそうな危険区域とかも、避けて通っていく予定だし。悪いけど……」


 高額な報酬でも請求されたら、さすがのティアラでも貯金が尽きてしまうかも知れない。だが、交渉を上手くいかせるためか、意外なセリフを口にし始めた。


「いやぁ、このジルも風の噂を聞きつけたというべきか。なんでも、追放された聖女様が、この国から出るために準備されているとのことでして。モンスターは避けられても、【王宮の暗殺者】からは逃れられるかどうか?」


(この男、私が王宮から追放された聖女だって、知っていたのね)


「だったら、どうだっていうの?」

「ふふっ。威勢の良い女性は、結構好きですよ。今日の夜中、隣国へ向かう特別列車が走ります。準備を終えて気が乗ったらどうぞ」


 しつこくし過ぎない主義なのか、一旦はティアラの前から立ち去るジル。

 無理やり手渡された小さな用紙は、隣国へ旅立つ高級列車の『プラチナチケット』だった。このチケットを手に出来る者は王族か、上流貴族かといったところだが。


(民間人じゃ絶対に手に入らないランクのプラチナチケット。彼は一体?)


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ