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死滅幸福論

作者: 水屋七宝

小さい頃から夢を見ていた。




虹の上を歩いたり、雲の上で眠る夢を




のんびり進む時間の中で、のんびり生きる自分自身を。




夕陽に照らされる雲と空の色。




オレンジとブルーのグラデーション。




空が織り成す光と影のコントラストが、たまらなく好きで仕方がなかった。




毎日が違う空の絵画で、それを見るたび踊りたくなる。




そらをじぃっと眺めていると、気付けば僕は舞っていて




知らないうちにらないうたを、思うがままに口ずさんでいる。




そんな夢を見れなくなったのは、いったいいつからだっただろうか




誰もが一度は夢見たろう夢




おとなになるたびみれなくなるゆめ




それは僕も例外ではなく




そんな夢を見ていたことさえ、今はもう忘れてしまった。




繰り返し廻る地球にのって、飽きるほど空を眺めたこの頃




この身は幼心なんてものも失くしてしまった。




嫌いなことを避けてきた。




好きなことは嫌いなフリをした。




今の自分はそのなれの果てで、それは何も生み出さなかった。




人の間をかいくぐってきたから、視界はせまくて暗いんだと




誰にともなく呟く言い訳は、結局自分を刺すのと同じで。




いま見る空は、あのころとは違う。




空がとてもきれいなのは変わりなく




ただ、少し濁っているように感じるようになっていた。




空がとてもきれいに見えるのは




或るいは自分が濁っているせいか。




そう思うとどこか寂しくて




雨も降らないのに頬は濡れた。




そんなとき、自分はたまに口ずさむ。




いま唄う詩も、あのころとはきっと違う。




想いは棺に。




夢は寝床に。




幻想みたいなおとぎ話の




はじまりをかざる、やさしいうたを、くちずさむ。








----------------------------------------------------   8月某日  晴天

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