テントは男の証
穏やかな朝、俺は女の悲鳴で起こされた。
『キャアアアア!!』
「なっ! なんだ! 何が起きた!」飛び起きて部屋を見回すと、ベッドの横にヨーコが立っていた。
『あんた、私になんて物見せんのよ!』
「えっ」 はだけた布団から、寝間着にしているスゥエットのズボンが、テントを立てていた。
『何で、あんた、布団はがしたら、テント立ててんのよ!』
「え〜と……布団キャン?」
『訳解らない事言ってんじゃないわよ! なぜ神気に触れたのに、そんな事になってんのか、聞いてんのよ!』 ヨーコは顔を真っ赤にして、睨み付けている。「これは、男の整理現象だから、神気は関係ないよ。』 説明しても、ヨーコは納得してない様子、まだ俺を睨み付けている。俺から目を反らせば、テントを見ずにすむのに。
「とりあえず朝飯にしよう、コンビニに行って来るから、おいなりさんで良いよな」
テントの話しを切り上げて、急いで玄関をでた。ぐちぐち嫌味を言われるの嫌だしね。
朝飯を食べ終わり、俺とヨーコの二人分のお茶を入れ、飲みながら、昨日ヨーコと話した事を思い出す。ヨーコは神様の眷族で、狐のケモミミだ。
神様の眷族は、ヨーコ以外にもいて、日本中にいるらしい。その内の何匹かの狐が、自由気ままに遊んでいて、時には、人を騙して楽しんでるそうだ。そう言った狐を懲らしめるのが、俺の役目。
眷族同士は闘う事が出来ない、まあ、闘うと言っても、肉弾戦ではなく、相手の術を破ると勝敗が決まる。危険は無いそうだ。
「ヨーコ、週末に叔父さんの家に、泊まりで遊びに行く約束をしていたから行くけど、どうする?」
ヨーコは俺の顔を見る。
『渡、その叔父さんの家の前に、神社はある?』
「どうだったかな、何年か前に一度行ったきりで行ってないけど、有ったような気がする」
『ふ〜ん……私も行くわ、それに、渡の側にいないと、神様から連絡が有った時、渡に伝わらないしね』「でも、ケモミミで外に出るのは、不味くないか?」
『大丈夫よ、姿を消せるから、問題ないわ。それと、ケモミミって失礼な言い方止めてよね、言うなら、もふもふにして』
ケモミミともふもふと、どう違うんだよ。
「解った、それじゃ、一緒に行こう」
ヨーコが着いてくるって事は、何か有るのかな、
少し不安だが、久しぶりに合う叔父さんと酒でも飲もうかな、二十歳になったし。