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11月某日 エスコートは誰の手に 数日前

【ローズマリー営業日誌】


11月某日 執筆者:ノエル


「たこやきパーティー、ですか?」

「そうよ、関西人なら誰もが大好きな『たこやき』よ!」

「はぁ……」

私がお仕えするお嬢様には時々こんな事がある。

いつもメイドが驚くことをやらかすのは日常茶飯事だが、私達が知らない言葉が出てくるのだ。


今回も『たこやき』なる食べ物? や『関西人』なる言葉など聞いたことがない。

……そういえばお嬢様付きのエレンが時々言ってたかしら? ツッコミは関西人のさがだとかなんとか。全く意味が分からないわ。




「お嬢様、これで『たこやき』を作るんですか?」

何でもこの日の為に工業ギルドにワザワザ作らせた物らしく、メイド達が珍しがって集まっている。

お嬢様は私たちメイドを家族のように接して下さるから、誰もが時々主従関係を忘れてしまう癖がついてしまった。今も言葉使いがメイド同士で話すような感覚でいるようね、後で注意しておかなくちゃ。


「それじゃ焼くよ。」

ジュー、ジュー


「本当ならここでタコを入れるんだけど、新鮮な海産物は中々手に入らないからね。今日はチーズやお餅を入れちゃうよ。」

ジュー、ジュー


「ここでディオンが作ってくれた特製ソースを。」

「うわぁ、いい匂い。」

「これで完成ですか?」


「最後に青のりと鰹節をかけて。はい出来上がり。この特製マヨネーズはお好みで使ってね。」

『それじゃいただきますね。』


ほくほく、パクパク。

「きゃー何これ美味しい。」

「うぁ、お餅が柔らかい。」

「このマヨネーズ? を付けたら全然違いますよ。」


全く、当主であるお嬢様に料理を作らせて、メイド達が喜んで食べてる姿なんて旦那様と奥様には絶対に見せられないわね。後で皆んなにはお仕置きしなくちゃ。


「ノエルも食べてみてよ。」

「いえ、私は。」


「何言ってるのよ、はい。」

「そういう訳に行きません。私にはメイド長としてのお勤めが。」

お嬢様がたこやきなるものを差し出してくるが、メイド達を取り仕切る身としては食べる訳には……あらいい匂い。いやいや、いけないいけない。


「もう、相変わらず頑固なんだから。ユリネーっ」

「はい、お嬢……アリスお姉さま……」

ユリネったらすっかりお嬢様の言いなりなんだから、でも顔を赤くしながらもじもじしてる姿って可愛いわね。

それにしてもお嬢様は私の娘を呼んで何をするつもりなのかしら?


「ふーふー、お母さん、はい、あぁーん。」

そ、それは! ひ、卑怯ですよお嬢様ぁー!

「うっ……あ、あーん。」ぱく。

!!

何これ! 美味しい。

パリッとした表面にふわふわの口触り、ソースと呼ばれるタレがさらに美味しく引き立てている。

それにカツオ節と青のりの見事なハーモニー。

ぽわぁーーー。 あぁ、たこやき美味しい。


「うふふ。」

「はっ!」

いけないいけない、危うくお嬢様の罠にハマるところだったわ。


「コホン、一度だけです。次は……」

「実はね、このマヨネーズを付けたらもっと美味しいのよ。」

うっ、もっと美味しい……もっと美味しい……もっと美味しい……


「そ、そうですね。せっかくお嬢様が用意してくださったのですから、食べない訳にも行きませんね。」

「はい、これノエルの分ね。まだまだ焼くから好きなだけ食べてね。」




数日後

「お、お嬢様。ちょっといいでしょうか。」

「どうしたのノエル?」


「そ、その……たこやきの道具をお借り出来ないかと思いまして……あ、いえ、メイド達に振舞ってあげようと思っているだけですよ。決して私が欲しい訳でないですから、間違えないでくださいね。」

「ふ、ふふふ。いいわよ、皆んなに振舞ってあげて。材料もディオンに言えば揃えてくれるから。」


たこやき美味しい♪


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