3月某日 カフェを始めようの数日後
【ローズマリー営業日誌】
3月某日 執筆者:エリス
今日はルテアお姉ちゃんとティアナ様がお店に遊びに来ました。
ティアナ様はお姉さまの作るケーキをすごく喜んでくれて、時々お忍びで買いにくるんです。
「ルテア、ティアナ様いらっしゃいませ。」
「アリスちゃんお久しぶり。」
「今日は何を頂こうかしら。」
商品ケースに並べられた数々のケーキ。
お店で人気の定番商品から季節限定のケーキもあって、来る時々で違った味を楽しめるんです。
「ティアナ様、もしよければ一度食べていただきたい物があるんですが。」
お姉さまが言ってるのは多分パフェの事だろう。
カフェをオープンさせる際に、新しい商品として開発された冷たくて甘い食べ物。
私も先日食べたけど、すっごく美味しかったの。
お姉さまはまだ公開されていないカフェスペースの窓際テーブルにご案内され、調理場へと入っていかれた。
私もルテアお姉ちゃんと一緒にテーブルに着く。
「みゃぁー。」
「相変わらずシロちゃんと仲がいいわね。」
ティアナ様がさりげなくシロの肉球を触ってくる。
「シロって、このもふもふがいいのよね。」
一方ルテアおねえちゃんは尻尾を触ってくる。
シロは気持ちがいいのか、すっかりテーブルの上で仰向けになり触られ放題の状態。
お姉さまが言うには二人とも神の手を持っているらしく、どうもシロは抗えることができないらしい。
以前お姉さまも神の手の餌食になったとか。詳しくは教えてくれなかったけど……。
「お任せしました。新商品のパフェです。」
お姉さまは私とシロん分も合わせて、パフェを4人分テーブルに持ってこられた。
「それじゃ頂くわね。」
皆んなで一斉に口へと運ぶ。
もぐもぐ、もぐもぐ。
「何これ冷たい。」
「なんだか甘い香りがするわね。」
「これはバニラアイスと言う物が入っているんです。香りはバニラエッセンスだと思います。」
バニラエッセンスとは、シュークリームに入っているバニラビーンズから芳香成分を抽出した液らしいのだけど、私には詳しい事はわからない。
「この冷たい食べ物って氷を使っているの?」
「いいえ、氷ではなく牛乳や卵なんかを混ぜてるんです。氷は最後に冷やす時だけに使っています。」
「よくこんな食べ物を思いつくわね。」
ティアナ様がお姉さまを褒めてくださってますが、私も本当に尊敬しちゃいます。
「これはいつからお店に出すの?」
「予定では今月末からカフェをオープンさせる予定なので、その時からですね。」
「あぁ、もう。中々来れないと言うのに、これじゃメイド達に隠れてお屋敷を抜け出さないといけないわね。」
「お母様は来すぎなんですよ、私なんて平日は学校があるから来れないんですよ。」
いやいや、公爵家の方々が庶民区そう頻繁に出歩いちゃダメでしょ。
そもそもメイド達に隠れてお屋敷をでちゃったら、大騒ぎになるから!
その後、お持ち帰り用に用意していた箱の中に、シロが隠れていて大騒ぎとなった。
どうやらルテアお姉ちゃんのお持ち帰り用と知った上で、箱の中で隠れていたらしい。
そんなに神の手が良かったのかなぁ。




