第9話:太陽の過去・前編
俺があんな卑屈な性格になってしまったのは何も親だけのせいではない。
俺にも心から笑っていた時はあった…
「光、空行こう!!」
光と空俺の幼なじみ…
光はとてもかわいくて優しい女の子…
空はやんちゃだけど友達思いな男の子…
幼稚園からずっとこの三人は一緒だった。
小学校、中学校、そして高校も同じになる予定だった…
でも、事件は起こった…
あれは中学3年の2月の終わりの頃だった…
………
……
…
学校が終わり空の家に俺と光がお邪魔させてもらっていた。
「太陽だったらもっと上の高校行けるだろ?」
「そうだよたっくん! 私達に合わせることないって!!」
「別に俺は一人で別の高校行きたくない…三人でいっしょに同じ高校に通いたいんだよ」
「……たっくん……大好き!!」
光は抱きつき癖があり、何かと抱きついてくる。
「ちょ、やめろよ! 光」
受験生である俺達は受験なんか関係なしにいつも通りだった。
俺は成績が良かったので先生にはもっと上の進学校に行けると言われたが毎日勉強なんか絶対嫌だ。
…それだったら近くの高校で光と空といっしょに通った方が楽しいと思った。
親は反対することはないし、小さい頃は無関心な親が嫌いで毎日が嫌だった。
でも、光と空と出会ってからは人生が変わった様に毎日が楽しくてしょうがなかった。
このままずっといっしょにいたかった…
「じゃあな!! 空」
「バイバイ! 空ちぃ」
「じゃあな…太陽、光」
空の家にいた俺と光は帰ることにした。
「たっくん。なんでもっと上の高校に行かないの??」
「言ったろ? 光と空と同じ高校がいいって…」
本当はもう一つある。
…俺は光が好きだった。
…いつからか、それはわからないけど気が付いたら好きになっていた。
…この事は空も知っている。
「どうしたの??」
「…いやなんでもない」
それでも不安はあった。
光は学校ではまさにアイドル的存在だった。
告白なんて何回されてるか…
今のところOKはしていないが高校でOKしてもいいやつが現れたら…
「そういえばたっくん好きな人いないの??」
「へっ!?」
「もう卒業でしょ? 好きな人に思い伝えとかないとね♪」
「………」
『お前だ』なんて言えない…
「その反応はいるんだぁ??」
「そういう光はどうなんだよ!?」
「私!? 私は…」
いたら嫌だなぁ…
「いるよ…」
マジかよ…
「たっくんは?」
「一応いるかな…」
「誰?」
「…光から言えよ」
「今度教えてあげる♪」
「じゃあ俺もな…」
こんな日々がいつまでも続けばいい…そう思っていた…