第8話:悲しみを越えて
「…太陽、温泉行くか?」
「…俺は部屋のシャワーでいい」
「そっか。…じゃあ行ってくるわ」
俺のせいであの場の空気は悪くなってしまった…
わかってる。悪いのは…俺だ。
コンコン
亮か? 部屋のキーでも忘れたのか?
扉を開けると亮ではなかった…
「北川…」
「太陽くん。今日はごめんね…」
悪いのは俺だ…
「でもね。ほっけないんだ…」
どういうことだ?
「最初見た時は、本当に冷たい目をしてて、何も信じていない…そんな人だと思った」
あぁそうだ。
「でも、違うでしょ?」
「…?」
「あの時私に声をかけてくれた。…本当は一人でいたいわけじゃないんでしょ?」
その言葉で俺は感じた…
この子なら信じられるんじゃないかって…
「…なにがわかる」
…なに言ってるんだ?
「俺のことをわかったように言うな!!」
この子はわかってる。俺は一人は嫌だ…
「…じゃあなんで泣いてるの?」
「…えっ?」
頬に手を当てると泣いてたみたいだ…
こんなこと言いたくないのに言っている自分がとても悲しいから…
「太陽くんには信じあえる仲間が必要なんだよ…」
「俺は……」
なんで躊躇うんだ…
「……本当は信じたいよ…でも、昨日まで信じてたやつに裏切られるのが…怖い」
「でしょ? 確かに裏切られるのは怖いよ…でも私は裏切らない…絶対に」
そう言った北川の言葉は俺に安心感を与えてくれた。
「そんなこと心配してたのかよ!?」
「…亮」
「俺達がそんなことするやつらに見えるか?」
「見られてたら悲しいわね」
…雨宮
「…今日は悪かった。あの場の空気を悪くして…」
「そう思うんだったら明日からいっしょにしゃべろうぜ!!」
「…あぁ」
こいつらなら信じれるかもしれない…そう思えた。