第6話:お金持ちのお嬢様
気が付けば俺たちは長野に着いていた。
…結構早く着いたな
これからお世話になるホテルに荷物を置き、さっそくスキーウェアに着替える。
「太陽!! どうやってこれ着るんだ!?」
部屋は二人部屋で亮と同じだ。
…この三泊大丈夫だろうか?
「はぁ…わかるだろ? 普通に着るんだよ」
「よっと…できた!! ところでさ! このホテルかなり豪華だよな!!」
「そうだな。東高生全員泊まれるほどでかいしな…」
それに亮が言った通りかなり豪華だ。公立高校の修学旅行でこのレベルはあり得ない。…何かあるのか?
「ヤバっ!! もうすぐ集合時間じゃん! 行こうぜ!! 太陽」
お前がスキーウェア着るの手間取ってたからだろ…
………
集合場所にはギリギリ間に合った。そして、そこから開会式みたいなのがあった。
……長い。
どんだけしゃべる気だ…
「以上で開会式を終わります」
やっと終わった…
話によれば初心者コースと上級者コースがあり、初心者コースはインストラクターに丁寧に教えてもらいながら滑り、上級者コースは適当にリフトに乗って滑っていいらしい。
俺は一回スキーに行ったことがあり、ちゃんと滑れるので上級者コースにした。
上級者コースには30人くらい居た。
結構、スキー行ったとないやつ多いんだな…
そして、そのなかに雨宮がいた。
「雨宮も上級者コースか」
「えぇ、毎年スキーに行ってるから結構自信あるわよ」
「…へぇ」
「ところで南くんいっしょにリフトに乗らない?」
「別にいいけど」
俺は雨宮とリフトに乗った。
………
「そういや、修学旅行先を決めたのは雨宮なのか?」
「えぇそうよ」
雨宮は学級委員会で修学旅行先を決める時に長野を提案したらしい。
「泊まるホテルをよくあんな豪華な場所できたな」
「あのホテルは私の父が経営してるのよ」
「ほんとかよ?」
「普通泊まれないわよ? うちのホテルは世間じゃ超一流って言われてるし」
…確かに。
あのホテルはどっかの金持ちが泊まるような豪華さだったな。
「父に頼んで安くしてもらえたから修学旅行先にできたのよ」
「へぇ」
思えば雨宮は黒髪のショートヘアが似合う眼鏡をかけている美少女だ。知的な雰囲気があり、どこかのお嬢様って感じだな…
「びっくりした?」
「…あぁ」
「した風には見えないわね?」
リフトで上まで来た。
傾斜結構あるな…
ここから見ると崖みたいだ…
「じゃあ先に行くわ」
雨宮は何の躊躇いもなく滑って行った。
…確かにうまいな。
「…俺も行くか」
同時刻:初心者コース
「だぁー!! 痛ぇー!!」
亮が豪快にこけていた。
「亮くん大丈夫?」
「あ、あぁ。大丈夫、大丈夫」
「無理せずにゆっくり滑ろう……ね?」
「…そうする」
亮は北川にかっこ悪い姿を見られて顔が赤くなっていた。