第5話:修学旅行へGO!
「いまから今月の14日出発の修学旅行について説明するぞ」
高校生活でビックイベントでもある修学旅行だ。
…正直どうでもいいけど。
「楽しみだね」
後ろの席の北川が小さく言った。
「…別に」
「私は早く行きたいな」
「………」
修学旅行は長野に行くらしい。日数は三泊四日。
…バイト先に連絡しなきゃな
この時はその程度しか考えていなかった。
………
日が経つのは早く、気が付けば14日。その間に北川はだいぶクラスに馴染んでいた。
「41人全員そろったわね」
雨宮はクラスの人数の確認をした。
「よし!! お前らバスに乗り込もうぜ!!」
亮が大きな声で言った。
今は朝の6時前…なんで朝っぱらからこいつはテンションが高いんだ?
しかもこいつは俺の席の隣だ。
いつもより早く起きなければいけなかったから寝不足だ。…だから寝かしてほしい。
…そんな切なる願いを心のどこかに持っていたが、すぐにぶち壊された…
「聞いたかよ!? スキーだぜ!? やったことあるか!? 太陽!?」
うぜぇ…
寝てるときにくる蚊並みに欝陶しい。
「中学の時に一回行ったぐらいだ。っていうか、寝さしてくれ…」
「俺さ、今まで生きてきて一回もやったことないんだよ!! 教えてくれよな!!」
…もう無視しよう
「ところでさ!! 長野の名産品ってなんだっけ?」
「亮くん、静かにしてあげなよ」
「南くんがウザがってるわよ」
俺の後ろの席の北川と雨宮が言った。
…ナイスだ!! 北川、雨宮
「静、ひどい! 太陽がウザがってるなんてさ!!」
「…正直言うがウザい」
「ほらね」
亮は少し間を置いて頬を掻きながら言った。
「…悪かったよ。じゃあ寝ろよ」
…そんなへこむなよ。
「はぁ…お前のせいで眠気が飛んじまったよ。だから話でも聞かせろ」
「わかったよ……」
そして、また少し間を置いて…
「…聞いてくれよ!! この前さ、静にテストの点数見せたら笑われたんだぜ!? ひどくないか!?」
「あんなに点数が悪かったら誰でも笑っちゃうわよ」
「何点だったの??」
「一番低かったので数学の8点だったかしら?」
「だぁー!! 言うなよー!!」
…8点って大丈夫か?
「フッ」
「あっ、太陽てめぇ笑いやがったな!! お前は何点だったんだよ」
「確か98点だよ」
「太陽くん頭いいね」
「確か南くん学年トップだったでしょ?」
「あぁ」
俺は自分で言うのもなんだが勉強はできる方だ。ガリ勉って意味ではないけどな…
「…さてはいつも早く帰ってるのは勉強するためだな?」
いやらしい顔で亮が言った。
「別に勉強は好きじゃない」
「隠すなってこのガリ勉くん♪」
「はぁ…うるさいんだよ。8点」
「しずかぁ〜!! 太陽が8点とか言ってくる〜!」
「泣かないでよ。8点」
「静までぇ〜!?」
「…まぁまぁ」
そんな話をしながらバスは長野へと向かっていった。