第2話:美しい女性
「風邪引くな…帰ろう」
ふと、さっきの女性を見てみた。
おかしいな…誰かを待っているわけではなさそうだ。
「…風邪引きますよ」
なぜか俺はその女性に話し掛けていた。
「大丈夫ですよ」
そう笑って俺に返してきた。
その女性の笑顔を見て思った。
―――なんて綺麗な人なんだろう…宝石のような瞳、雪のように白い肌…まるで天使のようだった。この女性を待たせてる奴がいるのなら、なんてこと無慈悲なことをしているんだと思う…
「…どうかしましたか?」
声がするまで俺はその人に見惚れてしまっていた。
「あっ、すいません!…でも、それにしてもこんな寒いのにどうかしたんですか?」
「…雪を眺めていたんですよ。とても綺麗だったので」
…ドキッ
そんな人、今時いるんだな…
「その制服って東高のものですよね?」
「ええそうですよ」
「私も来週から東高に通うことになったんですよ」
高校生!? とてもそんな風に見えなかった…
「へぇ、そうだったんですか」
「もしも学校で会ったら話し掛けてね。私の名前は北川雪乃。よろしくね」
「あぁ、よろしく…」
「ところであなたの名前は?」
「…南太陽」
「太陽くんか…覚えとくね」
彼女はとても綺麗な笑顔でそう言った。
………
……
…
あれから、俺は『帰ります』とだけ言い、自宅に帰っていた。家に帰ると時刻は10時回っていた。
いつもどおり適当に食事を取って、シャワーを浴びて布団に入った。
明日は土曜日でバイトが朝から入っているいることに気が付いた。
俺はコンビニでバイトしてる。週に5日ほど入れている。親からは一応生活費など仕送りはもらっているのだが、正直言って足りない。
だから働いて稼がなきゃいけなかった。
『じゃあね。太陽くん』
北川雪乃さん…か
あの人にも悩み事なんかあるのかな?
そんなこと考えてるうちに寝てしまった…




