表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
白銀の天使  作者: Aki.
18/23

第18話:空

「西島空≪にしじまそら≫です。よろしくお願いします」


これは…夢だな。


俺が小学2年の頃、空は俺のクラスに転入してきた。


「じゃあ、西島くんはあの席に座ってくれる?」


そう言って、俺の横の空いてる席を指差した。


「あの子どこから来たのかな?」


俺の後ろの席にいた光が俺の耳元で小さく囁いた。


「横の席なんだし、休み時間にでも聞いてみればいいだろ?」


「そうだね」


そうこうしてる間に、空は俺の横の席でランドセルを置いていた。


「はーい。授業始めますよ。国語の教科書を開いてね」


「「「はーい」」」


先生の声に生徒達が反応する。


「南くん。西島くんは転入してきたばかりだから、教科書がないの。だから、机を寄せて見せてあげて」


「はーい」


そう言って、机を寄せた。


「ほら、見ろよ」


「…ありがとう。南くん」


「いいって。それより、俺のことは太陽って呼んでくれよな」


「わかった。じゃあ、僕のことは空って呼んで…」


「オーケー。空」


それが、俺と空の初めての会話だった。




………


「……っ…」


……今何時だ?


「8時…だいぶ寝たな…」


帰ってきたのが12時くらいだったから8時も寝てたのか…


グゥ


そう思っていたら、今度は腹が減ってきた。


「…はぁ」


俺は食べ物を探して冷蔵庫を開いた。


「なにもないな…コンビニでもいくか…」


俺は近くのコンビニに行くことにした。




………

……


「何買うかな…」


俺は近くのコンビニに夕食を買いに来た。


あまりここら辺の地理は変わっていなかったので、探さなくても昔よく行っていたコンビニがあった。


「とりあえず弁当でも買うか」


商品棚から食べやすそうな弁当を取り、レジに向かった。


「500円になります」


俺はちょうど500円玉を持っていたので、お釣りなしで買い物できた。


「温めますか?」


「いいです」


「ありがとうございました」


早く帰って食べよう……


「太陽!?」


この声は、まさか……


振り返るとそこには…


「……空」


「太陽……」


会いたくないやつに会ったな……


「帰ってたんだな……」


「………」


「ちょっと話さないか?」


「………」


俺は空の顔を見ずに、早足でその場から逃げようとした。


「おい太陽!!」


…が、空に腕を掴まれてその場から、逃げることはできなかった。


「お前とは話したくない。…俺は許してないんだぞ。お前を…」


「…謝らしてくれ」


「………」


コンビニの前でこんなことをしていても、お店の人に迷惑なので俺達は別の話をすることにした。




………


俺達はコンビ二近くの公園に来た。


ここでよく3人で遊んだな…




………


「かくれんぼしよう!!」


と、光が言った。


「いいけど、この公園は狭いから隠れるところなんて知れてるぜ?」


「そんなことないもん!! じゃあ、たっくんが鬼ね!! 行こう!! 空くん」


「う、うん」


「やれやれ、それじゃあ、10数えるぞ!? …10…9…


俺はゆっくりと10数えた。


…2…1…もういいかい!?」


「「もういいよ!!」」


そうして、俺は光達を探すのだが、この公園は本当に狭いため、すぐに見つけることができる。


「みーつけた」


「えぇーー!? なんでわかったの!?」


「光は隠れんのが下手なんだよ。なぁ? 空」


「う……うん」


不本意ながらも肯定する空。


「あぁーーー!? たっくんも空くんも言ったね!? 今度は絶対分からないところに隠れてやるんだから!!」


「やれるもんならやってみな?」


「むー!! 絶対、ぜぇーーーたいやってやるんだから!!」


「落ち着いて、光」


そう言って俺を思いっきり睨む光。それをなだめる空。冗談で挑発する俺。


ほんとにこんな日々がずっと続けばよかったと思う。ずっと…




………


「太陽、お前風高受けなかったんだな…」


空の声で現実に引き戻された。


「……受けるわけないだろ」


…風高を受けてもそこには何もないのをお前は知ってるだろ?


「光も風高受けなかったんだよ…」


「…知ってる」


「……悪かった」


「許さない…一生…」


俺は思いっきり空を睨んだ。


「わかってる…」


「………」


2年前まで親友だった……たった一つの事件で崩れた…


「ひとつ言うなら…」


「……?」


「俺も光が好きだった…」


「知るかよ…一つ言えるのは……俺がお前を許すことはない」


「あぁ…最初から許されないと思ってた。…でもほんとに悪かったと思ってる…」


「………」


できることなら、こいつを殴り殺したい…


でも、そうしたところで何も元には戻らないんだ。


---あの日々は…---


世の中、死んでも償いきれないことがあると思う。死んでも…な。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ