第16話:太陽の過去・後編
一部不快な場面があります。予めご了承下さい。by.Aki.
雪乃達は大丈夫だろうか? 俺は助けることが出来たのか? 頭の中でそのことだけが頭を駆け回っていた。
移り変わる景色を眺めながら、昔の情景が浮かび上がる…
………
中学3年。あと、数か月で卒業という時期だった。
「南、ちょっといいか?」
「なんですか? 先生」
俺は担任の先生に呼び出された。
「お前、やっぱり受験校を変える気はないか?」
「またその話ですか…俺は風高しか考えられません」
風見高校は光、空といっしょに通うことになっていた高校だ。
「風高は悪くはないんだが…もっと上の高校に行けるぞ?」
「興味ありませんよ」
そう…光と空のいない場所なんて興味はない。
「そうか…まだ受験には日があるから考えといてくれ」
「風高以外興味ありません」
その時は絶対に風見高校に行くと思ってた。
「なんの話だったの??」
「別になんでもないよ」
「太陽は頭がいいから上の高校に行かないかって話だろ?」
「まぁ、そうだな。…いくら言われても変える気はないんだけどな」
「光ちゃん、ちょっと…」
クラスの女子だ…光は卒業後のお別れ会の幹事らしい。
「ごめん…」
「行ってこいよ。幹事なんだから」
「うん」
光はクラスの子の所に行ってしまった
「…空、俺決めたよ…」
「何が?」
「卒業の日に光に告白する…」
「…ふーん。そうか太陽…」
俺は決意した。このままの関係でいても意味がない。そう思ったから…
卒業式
「以上で卒業式を終了します」
大きな歓声とともに卒業式を終えた。
「光、あとでちょっと教室に来てほしいんだ」
「いいけど、どうしたの?」
「いやちょっと話したいことがあるんだ…」
「うん? わかった」
とうとうこの時が来た。俺は今日光に思いを……
「南ちょっといいか?」
……先生か…
「なんですか?」
「すぐに終わるから職員室に来てくれ」
ちっ…俺は心の中で舌打ちをした。
「…わかりました」
職員室
「やっぱりお前はもっと上の高校に行くべきだと思う」
またその話かよ……
「何度も言いますけど、変える気はありません」
「お前ならここから少し遠いが県内トップの東高校にも行けるぞ」
「興味ありません…」
光…今すぐ行くからな…
俺の思いを伝えに…
………
俺は走って教室に向かった。教室まであと少し…
キャー!!
…光?
俺はおもいっきり教室の扉を開いた。
「光!!」
扉を開くと光は服がボロボロで男が押し倒していた…
「なに…やってんだよ!!」
俺はその男の肩を掴んで、光から引き剥がした。
「……空?」
その男は空だった。
「っ!!」
光は隙をついて、その場を去っていった。
「太陽…」
「お前、なにやってんだよ!!」
俺は初めて親友をおもいっきり殴った。いや、もうこいつは親友じゃない…
「俺も光が好きだったんだよ!」
空からは思いもよらない言葉が出てきた。
「じゃあ、なんで……なんで最初からそう言わなかったんだよ!!」
「光は……光はお前が好きだったんだよ!!」
……なんだって?
「だから、お前が告白したら光はお前と付き合うことになってた…」
「だからって、なんであんなことしたんだよ…」
「………」
「……もうお前は親友じゃない…」
俺は光を追いかけた…
………
「光!!」
「……なに?」
「大丈夫か?」
俺は光の顔を見ようとしたが、光は下を向いていて表情がわからなかった。
「…これが……大丈夫に見える? 教室に呼んだのはあんなことのためだったの?」
光は下を向きながら言った。
「違っ……」
「もう顔も見たくないよ…」
えっ……
「私、受験するとこ変えるから…もちろんどこかは教えない…」
ちょっと待てよ…
「じゃあね…たっくん」
光は去っていった…
俺は……どうすればいいんだよ?
―――俺の中での何かが音を立てて…崩れた―――
………
「南、どうした?」
「先生、俺東高に行きます…」
俺はとにかく何もない場所に行きたかった。何もない場所へ…
………
……俺は2年ぶりに故郷に帰る。胸に色々な思いを抱えて……