第11話:無謀な挑戦
俺達は一番上のコースに来たわけだが……
「…おい……崖じゃねぇか? …これ……」
亮…同感だ…
「そう? 私は何回か滑ったことがあるからそうは思わないけど?」
雨宮…さすがにこれは無理だろ…
「じゃあ、私先に行くわよ」
雨宮は平気で崖のような斜面を滑っていった…
「太陽行けるか?」
「行くしかないだろ…でも、今日はなんで初心者の方に行かなかったんだ? 北川もそっちにいるわけなのに…」
「…そりゃ北川の前でかっこ悪いとこ見せれないからな」
「でも、リフトで下まで降りるのはもっとかっこ悪いぞ?」
「…そうだな」
俺もそろそろ覚悟を決めるか…
「亮…俺行くよ」
「マジかよ太陽…っておいちょっ待てよ!!」
滑り始めると風が気持ち良くて景色がゆっくりに見えた…
死ぬかもな…
………
……
…
気が付くと下に着いていた。そこには、すでに雨宮がいた。
「亮は?」
「さぁ? まだ上かもな」
「そう…まぁやり始めて2日で来るようなコースじゃないもの。ここはプロがやるようなレベルよ」
俺、スキーは中学の時に一回行った程度なんですけど…
「なんで亮をあんなふうに挑発したんだ? 普通に考えて無理だろ?」
「だって、おもしろいじゃない。それに…」
「それに?」
「どけーー!!」
「「亮!?」」
「止まれ!! 亮!!」
「止まり方知らねぇんだよぉ〜〜!!」
ドンッ!!
亮は木にぶつかってしまった…
「亮、大丈夫か!?」
「……大丈夫じゃないかな」
「大丈夫じゃない」
「大丈夫なわけあるか!!」
まぁ、それもそうだな…
鼻血出てるし…
「とりあえず医務室でも行くか…」
「大丈夫だ。鼻痛いけど…」
「そりゃ鼻血出てるしな」
亮はおもむろに鼻を触った。
「なっ…なんじゃこりゃー!!」
「もう少し簡単のコースにしましょうか…」
「そうだな…」
雪乃side
「なんか今悲鳴みたいなの聞こえたな…」
それにしても太陽くん達は三人でコース回ってていいなぁ……
「どうかした?」
ボーとしてたら声をかけられた。
「なんでもないよ。えっと…」
「僕の名前は天草裕。君の名前は?」