第10話:修学旅行二日目
「おい!! 起きろよ! 太陽!!」
「…っ…どうした? 亮」
壁に掛かった時計を見ると、まだ朝の6時前だった。
……なに考えてんだ、こいつ
「見ろよ!! 雪だぜ!!」
ほんとだ…
あの時を思い出す…
雪を見つめる幻想的な女性…
「…それはわかったが、なんで起こしたんだ?」
「いやー…目が覚めちゃてな」
「…寝る」
「悪い、悪い!! 一応話があるんだよ…」
「なんだ?」
「お前さ、北川と妙に距離が近いじゃん? ……もしかして北川のこと好きなのか?」
俺は…
『…雪を眺めていたんですよ。とても綺麗だったので』
なんで思い出すんだ…
「…そんなわけないだろ」
「よかったぁ〜。実は俺さ惚れちゃたんだよな…」
「誰に?」
「話聞いてたらわかるだろ!? 北川だよ!!」
「あっそ…」
「なんだよ!? そのリアクション!! もっと驚けよな!!」
「興味ない」
「けっ!! やっぱ根は変わんねぇな!!」
「…今度こそ寝るぞ」
「あぁ、悪かったねぇ」
俺が北川を好き? そんなわけないだろ?
…でも、俺はたぶん心のどこかで気になっている。
天使のようなあの女性を…
………
ピンポンパンポン♪
「東高等学校のみなさん、朝食の準備ができました。二階のレストランに集合してください。」
「…いくぞ。亮」
「うぃ〜」
俺達はエレベーターに向かった。
「あっ、おはよう♪」
「おはよう」
北川と雨宮だ。
…まさか、このみんなの前で涙を流してしまうとは思わなかったな・・・
「あぁ、おはよう」
「亮くん寝癖すごいね」
「そうか? 朝から鏡見てないから、まったくわかんねぇんだよな」
「鏡ならあるじゃない」
雨宮がエレベーターにある鏡を指差した。
「……うわっ!! なんじゃこりゃ!? 太陽なんで言ってくれなかったんだよ!?」
「俺はてっきり、もう気づいててボケてるのつもりかと思った」
「そんなことするか!! うわぁ、どうしようかな…」
亮はすごい寝癖を必死に直そうとしていた。
「クッ…」
「笑いこらえんなよ!! 笑うなら盛大に笑ってくるたほうがいいぜ!! …でもそれが太陽だな」
昨日の一件でこいつらとは距離が近くなった気がする。
でも昨日はかっこ悪かったな…
朝食はいっしょに食べることになった。
「南くん今日はもっと上まで行ってみない?」
「あぁ、でも昨日のコースで結構厳しかったんだけどな」
「南くんなら大丈夫よ。亮より運動神経ありそうだし」
「おいおい聞き捨てならねぇぜ!! 俺は昨日の1日で滑れるようになったぜ?」
「あら、じゃあ行ってみる?」
「亮くんやめときなよ…」
「…やめとけ亮」
「その勝負受けて立つぜ!!」
なんの勝負だ…にして雨宮は亮をいじめんの楽しんでんな…
そして、俺達はもっとも難しいといわれるコースに向かうのだった…