第1話:冷たい自分
…俺は学校を終えると寄り道もせずに家に帰るという、普通の高校生にしては寂しい毎日を送っているのだろう。
「太陽!! 駅前に新しくできたカラオケに行こうぜ」
誘いがないわけではない。
「悪いけど、今日はやめとくよ」
「いつもじゃんかよ!!」
…正直言って面倒だ。
行けないわけではない。行きたくないんだ…
人と深い関係になって意味があるのか!?
笑って泣いて怒って…笑ったりするのはまだいいが、泣いたりして苦しむのは俺はごめんだね。
なんで他人のために泣いて苦しまなきゃいけないんだ!?
そう思いながら俺はいつも通り1人寂しく下校する。
こんなにも心が冷めているのはしょうがない。
生まれた時から俺は誰からも愛されていなかったんだから…
親は子どもに無関心で、俺に愛情をくれたことはない。
そして、親友だと思っていた奴からも裏切られた。
---俺はもう誰も信じることが出来ないのかもしれない…---
………
……
…
気が付くと空から雪がちらほらと降りだしていた。
雪が俺の心を暖かく満たそうとするように……
「雪か…」
俺は無意識にそう呟いた。
でも、そんな雪なんかで俺の心に満たされることはない……
そんなことを考えていると無性に……悲しくなった。
ふと腕の時計を見ると時刻は七時で自宅の付近の公園にいた……
だからといって、誰も心配なんかしないのだから、どうでもいい話だ。
家に帰っても誰もいない。
俺は高校に入学したと同時に1人で暮らすことにしたからだ。
俺が『一人暮らしがしたい』そう言った時、母さんは…
「そう…好きにしなさい」
冷めた口調で俺にそう言い放った。
もう母親とは会わない…そう心が感じた……
それほど冷たい目で俺を見ていた。
ふと、周りを見渡すと俺以外に1人の女性がいた。誰かと待ち合わせでもしているんだろうと思った。
しばらく、俺は何も考えずボーとしていた。
俺はただ無情に降る雪を眺めていた・・・