『恋の終わる音』
掲載日:2016/06/05
恋の終わる音が聞こえた気がした。
それは、砂が落ちるように静かでうっかりすれば聞き逃しそうな音だった。
でも、愛は確かに落ちていた。手に残ったのは本当に僅かな愛だった。
この事を君に伝えれば、君は泣くだろうか。それとも諦めたように笑うだろうか。
泣いてくれればいいのに、なんて思うのは僕のエゴだろうか。
いつか君と買ったペアリングは、今では指だけでなく心を締め付けているようだった。
「話があるんだ」
デートの時、君に告げたら君はそれまで浮かべていた笑顔を固まらせた。
ごめんね、と心の中で呟いた。
君を幸せにできなくてごめん。
これは僕のエゴだ。
「あのさ」
恋の終わる音がした。最後の音は、指輪が落ちる様な高い音だった。




