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人外の国のありふれた日々

なんとか二日以内に……

土地は豊か、魔物もいない。海にも面しているし、港を作るのに適した土地。

こんな土地だから大国に狙われ、三つの大国がここ400年ほど戦争を続けていて、空白地帯となっていた。


そこに30年前建国されたのがラーダンガを首都とするツーゴーディエ民主国だ。

ツーゴーディエ民主国は建国後冒険者ギルドから莫大な投資を受け、二年あまりで首都ラーダンガと冒険者養成学校、そして物流を担うスリーラバー港を整備した。


では何故それができたか。



答えは僕の家の下、冒険者ギルドラーダンガ支部の酒場にある。


☆★☆★☆★☆★☆★☆★


「おー!しゃおちゃん今日もかわいいなぁカミさんの若い頃見てぇだぜ」

「馬鹿かてめぇのカミさんはそこらのヤクザの百倍怖ぇ女だったろ!しゃおちゃんと一緒にすんじゃねえ!」

「エルビスはよくザリーナにカツアゲされてたからな」

「うるせえ!」

「誰がヤクザの百倍怖いだって?」

「うわあああザリーナだあああ!」

「うるせぇぞエルビス共!」

「ドワーフは酒なんか飲まねぇで鍛治でもしてろや!」

「んだと人間風情が!」

「やんのかコラ!」

「所詮ドワーフも人間も低級よなぁ」

「同じ精霊系種族とは思えませんわ」

「ガハハ!ダナ!ダナ!」

「鬼族は論外ですのよ……」

「ガハハ!ソウカ!ソウカ!」

「んー!いい男たちの争いね!濡れちゃうわ!」

いつもギルドの酒場でお酒ばっか飲んでるエルビスさんとダリンさんとテコンのおっちゃん。テコンのおっちゃんのお嫁さんのザリーナおねぇさん(・・・・・)から始まりドワーフグループのドガンのおっちゃんが怒鳴り龍族の八千代ばあちゃんが蔑みエルフのオージオさん(男性)が同調し鬼族の茨木さんがいつものやり取り淫夢族の……。




「うるさあああああああああああい!!」


「小蓮よ、怒ると妾のように美しくなれぬぞ?好きな男も「うるさい!」」


起こったのに八千代ばあちゃんはコロコロ笑うしこの人苦手だ……いい人だけど。


「大体ここのメンバーはおかしいよ!」

「ガハハ!シャオレンハイツモオコルトソレダナ!ガハハ!」

「そうだよ!お前ら自覚もてよ!冒険者ランクはいくつだよ!」

「「「「マスターだ!」」」」

「うるさああああああああああああああああああああああい!!!」

「小蓮ちゃん、キャラぶれ「うるさい!」」

「いつも僕が降りてくる度にちょっと喧嘩になるとかもうつかれたよ!なんだてめぇら構ってほしいのか!」



「我が国のアイドル小蓮に構って欲しくないやつなんていねぇ!」

「お、おお……」

「かわいいのぉ」

「う、うるさい!」





この街は、引退したマスターランク冒険者が集まって作った国なのだ。

その数1876人。全員怪我とか老いが理由で引退したとはいえ、全員が全員未開地の最前線経験者、全員が戦力で、全員が何年も一緒に戦ってきた戦友、そして全員人外。

加えてこの国の子供は僕含め全員マスターランク冒険者の子供らしい。


ツーゴーディエは他国からこう呼ばれている。


『人外の住む街』と。







「はいはい、うちのしゃおを苛めるのはもう終わり、ああ、この中で立花一刀流を知ってる人いるー?」

「また懐かしいお伽噺の話をするんじゃのぉ」


やっぱり八千代さんはウン百年生きてるだけあって物知りだなぁ。


「流石龍族のババアは物知りだぜ」

「そこ、聞こえてるよ」


八千代ばあちゃんをお婆ちゃん扱いしていいのは僕だけなのだ。


「で、立花一刀流だって?」

「そうそう、小蓮たら拾ってきたぬいぐるみに呪われちゃって、立花一刀流を会得しないと呪いが解けないんだってさー」

「なかなか珍しい呪い人形だな!自作自演じゃないか?」

「ちがうもん」

「自作自演なら立花一刀流なんて出てこんじゃろ……アホすぎじゃろエルビス」

「結局立花一刀流ってなんなの?お婆ちゃん」

「立花忠勝というとてもいい男が作った流派じゃよ、ちなみに立花忠勝は龍族の里では女子供は全員憧れとるよ」

「ふーん」

「これがその立花忠勝です」


ぷぺっと気の抜けた音の出る……音が出るぬいぐるみだったのこのくま!?


ぷぺっと言わせながら頭を鷲掴みにしてくまを持ち上げる……また立札持ってるしこの立札どっからでんの……。


『立花忠勝です。そして猫はジャンヌです』


「1500年以上も前の人間と龍族に会えるとはなぁ……」

「ジャンヌは龍族なの?」

「昔話をしてやろう」


そうしてツーゴーディエ民主国最高齢のお婆ちゃんの昔話朗読会が始まった。

※ちょっとした設定

冒険者ランクは

フール ニュービー ビギナー アマチュア プロフェッショナル ティーチャー プロフェッサー マスター レジェンド

の計十個あります。マスターランク以外ではゴロが悪いので~ランクではなく~級です。因みに小蓮はアマチュアです。


小蓮の住む大陸は広大な土地です、ユーラシア大陸の二倍ぐらい。星自体地球とは比べ物にならないくらい大きいです。


呪い人形はとても珍しく、解呪のクエスト等も発令されますがマスターの一つ下、プロフェッサー以上でしか受けられません。

普通の国なら大騒ぎですがここは人外の住む街、未開地では呪い人形が味方で戦う状況を皆さん経験してらっしゃるので平然としてます。

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