プロローグ~僕と呪いのくまと猫~
最低二日に一回更新を目指します。
毎回4000字書けたら嬉しいなぁ
よく「〜が好き、〜なら何日続いても大丈夫!」とか「〜が好き!囲まれたい!」だとか言う方々がいるけど、実際は三日もすれば飽きるし、囲まれたところで結局飽きるものなのだ。幸せとは恒久化すれば容易く崩れてしまうものなのだ。そういうことを今僕は実感している。
僕は猫が好きで、くまのぬいぐるみ、南の方に住む人間達は『テディベア』とか言うらしいけど、そういったものが好きだ。
才蔵は僕のことを「なよっちぃ」とか「女みたいだな!」とか言ってくるけど好きなものは仕方ないし、癒されて幸せを得れるなら女も男も関係ないと思う。
まぁ、にゃんことくまのぬいぐるみをこよなく愛する僕なのだが、そんな僕の目に天国への誘い、天からの褒美かと思う依頼が飛び込んできたのだ。
『大森林の中の猫屋敷内でのぬいぐるみの回収』
猫、ぬいぐるみ。
僕はうきうきで受付嬢のリリンさんのお話もろくに聞かずに依頼を受注したのだ、してしまったのだ。
その結果がこの様だ。
体にまとわりつくにゃんこ、にゃんこ、にゃんこ、にゃんこ、にゃんこ!!
頭に三匹肩に四匹服に引っかかってるのが二十一、今増えて二十二匹!足にしがみついてるのが十六匹!合計四十五匹!
「懐かれすぎだあああああああああ!!!!」
誰か、半分でいいから受け持って……
☆★☆★☆★☆★☆★☆★
「これで……この部屋で……最後……」
体中から聞こえる「にゃあにゃあ」で最早自分の言葉さえ聞こえない。
とりあえず、これが最後、これが終わったらもう猫はいい。
これが最後。
そう思うと扉が少し軽くなったような、まるで部屋が僕を迎え入れたかのように感じた。
部屋を見渡す僕。
大きな部屋だ。そして大きなグラウンドピアノ、家主は貴族だと聞いたし、自宅に音楽家を連れていたのかもしれない、証拠に豪華なシャンデリアに大きなテーブル。大きな部屋だ……ただ……テーブルの先には白猫に乗ったくまのぬいぐるみがいた。
「やぁ」
くまのぬいぐるみが口をあけた。
いや、これは猫に囲まれすぎて、そしてぬいぐるみを追い求めすぎて幻覚を見ているのだ。そうに違いない。さっさと回収……「幻覚などではないぞ?」……やるな幻覚、流石僕の幻覚だ。惑わ「えいっ」あれ?なんかぬいぐるみに斬られたぞ?え?痛い。最近の幻覚は……いや!これ現実?あっ……血が……。
「いったああああああああああああああああああああああああ!!!」
叫びながら視界が真っ赤に染まり、僕の意識は申し訳なさそうな顔をしたくまのぬいぐるみを最後に僕から去っていった。
☆★☆★☆★☆★☆★☆★
「ん…ぅ」
ここは…
「豪華な部屋だ」
「起きたか少年、ちん〇んついてて驚いたぞ」
どこから声を出しているんだろうこのぬいぐるみ……世の中不思議なこともある……。
「くまの……ぬいぐるみ……」
「ふむ、それ以外吾輩を見かけから判断することは出来ぬだろう」
「変な奴……」
「少年、名を何と言う?」
「まずは、そっちからじゃないの?」
くまのぬいぐるみは、少し微笑んで……あれ?なんで表情固定のぬいぐるみの表情分かるんだろ……怖すぎ。
「そうだな、吾輩の名は|立花権中納言源宗兵衛忠勝(たちばなごんちゅうなごんみなもとのそうべえただかつ)という」
「た、たちごん……」
「立花忠勝でいい」
「たちばな、ただかつ」
「そうだ。少年の名は?」
「小蓮、趙小蓮」
「小蓮、君は試験に合格した。選ばれたのだ」
試験……?にゃんこまみれのあれか…?
「試験に合格したらどうなんの?」
「うむ、吾輩が小蓮に全てを託す」
「重い」
「逃れられんよ」
最悪だ……メンヘラぬいぐるみのおっさんに捕まった……。
「小蓮には吾輩の『立花一刀流』を極めてもらわねばならん」
「それだけ?」
「そうだ、そうなれば吾輩とジャンヌの呪いは解け、故郷に帰ることができる」
「ジャンヌ?」
「この猫の名前だ」
『なーご』と頭を下げて挨拶(?)をしてくる。でもなんかどこと無く偉そうだなぁ。
「夫婦?」
「種族から違うよ。まぁ、夫婦と言えん中では無いのかもしれんがな……変わるか?」
「は?」
「いや、ぬいぐるみと猫自由に行き来出来るんだよ」
「ふ、ふーん……」
頭がパンクしそうだ……意味がわからない……。
「人間」
女の人の声になったけど声が冷たすぎるし『人間』呼びとかやめて欲しい。
「……魔法ハ私が教エる、以上…………だとよ、懐かれたな」
「もぅマヂ無理……」
「とりあえず帰ろう。あと俺らの声はお前にしか聞こえないからな」
不幸だ……。
名前しか分からないくまのぬいぐるみと猫にによじ登られるし、剣術極めることになるしちゃんと喋れてない謎の奴に魔法教わることになるしもうマヂ無理……。
「レッツゴー!「なーご」」
なんなんこいつら……。